有明海のノリ取引をめぐり、佐賀県有明海漁業協同組合と熊本県漁業協同組合連合会が、公正取引委員会を相手に、独占禁止法に基づく排除措置命令の差し止めを求めた訴訟で、東京地裁(笹本哲朗裁判長)は9日、漁業団体側の訴えを却下する判決を言い渡した。

 公取委は、全てのノリを漁協や漁連に出荷することを生産者に求める「全量出荷」と呼ばれる慣行が、独禁法違反(不公正な取引方法)にあたるとして昨年11月、違反行為をやめさせる排除措置命令を出すとの処分案を2団体に通知した。

 判決は、命令によって原告の経営基盤に深刻な影響が生じるとの立証はなく、命令はノリの品質の問題を指摘するものではないなどと指摘。行政訴訟の差し止め要件である「重大な損害のおそれ」が認められず、訴え自体が不適法だと判断した。