原発の核燃料の研究開発をする「日本核燃料開発」(茨城県大洗町)が放射性廃液タンクなどで10年以上必要な点検をせず、虚偽の記録を作っていた問題で、同社は13日、県庁で記者会見を開いた。原子力規制委員会から「会社全体の問題」と指摘されたことについて、同社の浜田昌彦社長は「決して個人だけに問題を押しつけてはいけない」と、会社側の責任を認めた。

 同社によると、2009〜22年度、保安規定で定められた放射性廃液タンク内側の点検や放射線管理区域の気圧を監視する警報計器などの点検をしていないのに、虚偽の記録を作成していた。

 実際には使用していない機器を、担当者が使っているものに見せかけて協力会社の社員に点検させたり、意図的に点検データを書き換えたりしていた。不正発覚後に点検を実施し、設備の安全性は問題がなかったという。

 同社では21年にも火災感知器について同様の点検不正があったことが判明しており、当時感知器の点検を担当していた社員が今回問題となった設備の点検も担当していた。

 同社は社員が不正を始めた動機について「日常的な仕事の遅れに対する上司の強迫的なプレッシャーから逃れたかった」などと分析。社員にかかる仕事量が多かったことを認めた。

 業務量を減らすために人員を増やし、別の社員に引き継ぎを進める中で、今回の不正が発覚したという。

 今年3月末、不正な点検を行った社員は懲戒処分、不正当時と現在の管理職ら3人には厳重注意をした。不正な点検をした社員は4月30日付で自主退職したという。

 県と大洗町は13日、文書で再発防止策の報告を同社に求めた。(宮廻潤子)