福井県鯖江市の中学校に通っていた女子生徒が同級生らのいじめを受けて不登校になったとされる問題で、市教育委員会が設置した弁護士や精神科医らによる調査専門委員会が13日、報告書を公表した。3年間で6件の事実をいじめと認定したうえで、学校側の不適切な対応が女子生徒の心理的苦痛をより強いものにしたと指摘した。

 専門委によると、女子生徒は2020年4月に中学に入学。23年1月、市教委がいじめによる「重大事態」が発生していると判断し、4月に専門委が設置された。

 報告書では、同級生に頼まれて送信した自身の「変顔」写真を無断でグループLINEに投稿されたことなど、中1の3件、中3の3件の出来事をいじめと認定した。

 一方で、行為そのものより、学校側の対応が生徒をより苦しめたと指摘。「適切に対応していればいじめ行為が生じなかったとも考えられる」とし、加害者とされた生徒の一部も被害者だとする見方を示した。

 専門委は学校の対応として、女子生徒がアンケートで悩みがあると回答し、相談相手にスクールカウンセラーを希望したが、担任教諭が事情を聞いたことなどを問題点として挙げた。また市教委についても、生徒が中学3年の夏休み以降体調を崩し、保護者が調査を求めたのに「適切な対応をしなかった」とし、重大事態の認定が遅れたと指摘した。

 記者会見した調査専門委員長の海道宏実弁護士は、女子生徒の「私のようなつらい思いをすることはして欲しくない。被害者の気持ちに寄り添って欲しい」などとするコメントを紹介。市教委の斎藤邦彦教育長は「いじめの発生を防ぐことができず、被害を受けた生徒や保護者の方にお詫びを申し上げます」と謝罪した。

 調査委は計5人からなり、23年4月に初会合を開き、20人から聴取。オンラインを含めて20回委員会開き、報告書を作成した。(長屋護)