個別法が想定していない非常事態で「国民の生命等の保護のために特に必要な場合」に、国が自治体に対応を指示できる権限の創設を盛り込んだ地方自治法改正案が7日、衆院本会議で審議入りした。政府は、コロナ禍で生じた自治体の業務の混乱を踏まえた改正と主張するが、野党は「地方分権への逆行」と批判している。

 国の指示は、法的拘束力を伴って自治体に具体的な対応を従わせる強い権限だ。現行では、災害対策基本法や感染症法といった個別の法律に規定が設けられている。

 しかし、コロナ禍では感染症法が想定していない事態が生じ、法的根拠がないまま国が自治体に対応を要請するケースがあった。こうした事例を踏まえ、改正案には、感染症法や災害対策基本法など個別法が想定していない非常事態で「国民の生命等の保護のために特に必要な場合」に限って行使できる国の指示権の新設が盛り込まれた。