改修中の佐渡空港を、新潟県が報道陣に公開した。同空港には格安航空会社(LCC)トキエア(本社・新潟市東区)が年内の就航を予定している。工事は今年夏ごろに終わる予定で、就航に合わせてリニューアルしたい考えだ。

 同空港は1958年に開港。59年以降、佐渡―新潟便や佐渡―東京便が断続的に運航していたが、2014年春に新日本航空が新潟便を無期限運休として以降、定期便はなくなっている。県はこの空港を設置・管理している。

 トキエアは今年1月、新潟―札幌便の運航を始めた。さらに4月に就航した新潟―仙台便などと合わせて佐渡―東京便の年内の就航を目指している。ただ同社が使う飛行機は、かつて佐渡空港を発着していた機体より大きく、関係する設備の改修が求められていた。

 滑走路と駐機場をつなぐ誘導路は、機体の重さに耐えられるよう、50センチほどかさ上げして強度を高めた。幅は9メートルから10.5メートルに広げたほか、カーブを緩やかにして大きな機体でも無理なく通れるようにした。

 平屋建てのターミナルには、これまで手持ちの金属探知機などを使っていた保安検査を効率化するため、新たに専用の保安検査室を設置。検査を終えた乗客のために延べ床面積96平方メートルの待合室を増築して設けた。検査機器や椅子などの備品は今後搬入・設置するという。

 その他、万が一の事故に備えて1台から2台に増やした消防車や、風速計や視程計といった気象観測装置も公開された。

 県は22年秋から約5億円をかけてこれらの改修を進めてきた。駐機場のかさ上げ工事などにさらに1億円ほどがかかる見込みとしている。県佐渡地域振興局の渋谷有子局長は「(トキエアの就航は)佐渡市民の移動手段の充実や観光客の利便性向上に重要な役割を果たすことになる。残りの工事を着実に進めていきたい」と話した。(初見翔)