世界で、富山で、戦争の傷痕を撮った写真展が23〜27日、富山県魚津市の新川文化ホールである。紛争地で生きる人々の取材を重ねる報道写真家の大石芳野さんと、富山の魅力を撮り続け、1月に85歳で亡くなった風間耕司さんの写真。作品に通じるのは「戦争を繰り返させない」という思いだ。

 写真展「戦世(いくさよ)をこえて 子どもの瞳は語る」は、魚津市の飯田(はんだ)恭子さん(86)が企画した。飯田さんは1945年8月、7歳で富山大空襲に遭い、焼夷(しょうい)弾の破片を左肩に受けた。後遺症で両腕の長さが違い、左腕はあまり上がらない。

 空襲体験者として昨秋、大石さんの取材を受けた。飯田さんは大石さんが高岡市で開いた写真展を見ており、「県東部でも開きたい」と伝え、快諾を得た。海外での戦禍に苦しむ子どもを撮った写真約100点を展示する。

 飯田さんは「戦争の後に残された女性、子ども、老人が置かれた困難を写真の子どもの目が表している。戦争は遠い国で起きるのでは決してない」と話す。「戦争は絶対に嫌だと、意思を示せる一人ひとりでありたい」と願う。

 風間さんの写真は、旧陸軍第9師団(金沢)の実弾射撃の着弾効果を観測する「監的壕(かんてきごう)」(南砺市)のほか、戦争遺跡を撮ったものなどを展示する。

 大石さんは、ウクライナやガザ地区での戦闘について、「子どもたちが成人になっても心身の傷は刻まれたままになるのでは」と心配する。富山大空襲を経験した人から、深い傷を抱えた人生を過ごした話を聞いてきたからだという。

 「戦争は戦闘が終わっても個人の身から消えることはない。だからこそ悪なのだ。私たちはどうすればいいのか、真剣に考えたい」。大石さんは25日午後1時半、会場で講演する。入場無料。問い合わせは飯田さんが代表のNPO法人つむぎ(0765・22・6006)。(小西良昭)