2026年からアウディとしてF1に参戦するキック・ザウバーは、ニコ・ヒュルケンベルグのチームメイトとしてカルロス・サインツを獲得することを目指しているものの、交渉がまとまらない場合は、エステバン・オコンを選ぶかもしれない。

 アンドレアス・ザイドルCEOは、現時点では、サインツを第一希望、オコンを第二希望と考えており、現レースドライバーのバルテリ・ボッタスは第三希望にすぎない。また周冠宇は今シーズン末でチームから去る可能性が高まっている。

 アウディはマーケティング上の理由から、ドイツ人ドライバーをひとり乗せることを望み、ヒュルケンベルグと2025年からの契約を結んだ。彼らは、2025年と2026年のラインアップを早い段階で確定し、5月初めに発表するというプランを立てていた。そのため、ヒュルケンベルグとサインツは、4月末までに決断を下すことが求められた。

 しかしサインツとの交渉はまとまらず、そのためボッタスに同様のオファーがなされる見通しだったが、アウディ上層部は考えを変えた。マックス・フェルスタッペンがレッドブル離脱を検討する可能性があるとの見方から、ドライバーマーケット全体の動きが停滞していることに気付いたアウディは、ヒュルケンベルグとの契約のみを発表し、チームメイトについては、結論を遅らせることに決め、サインツとの契約の可能性を残したのだ。

 以前のボッタスは、チーム残留を最優先にしていると公言していた。「僕の最優先事項は、チームに残ることだ。アウディのプロジェクトはどのドライバーにとっても非常に興味深いものになると信じているからね」と述べていたボッタスだが、ザイドルとの交渉が停滞していることから、現在は、他の可能性を探ろうとしている。

 アウディとオコンのマネジメント陣営との交渉は、この数週間で加速している。オコンはアウディと契約するためなら、長く続いているメルセデスとの関係を断ち切る覚悟も決めている。アウディはチームメイトのピエール・ガスリーとも交渉を始めた。しかし、今年序盤はアルピーヌのチーム内でオコンがガスリーを上回る成績を出していることで、オコンの方が交渉が有利に進んでいるようだ。

 一方、ボッタスについては、周冠宇との差がそれほど大きくないことから、F1で優勝10回、ポールポジション20回を獲得したという経歴にもかかわらず、ザイドルは候補リストの上位に彼を挙げていない。

 ザイドルは、アウディのF1活動をスタートするにあたり、実績あるドライバーふたりを起用し、チームをリードしてもらいたいと考えている。そのため、ミック・シューマッハーやフェリペ・ドルゴヴィッチは候補リストから除外しているといわれる。