レッドブル・ホンダRBPTは、市街地サーキットで開催されるF1第8戦モナコGPに以下の4つのアップデートを投入してきた。

(1)リヤウイング
 モナコのコース特性に合わせて空力のバランスレンジを最適化したもので、アッパーリヤウイングを拡大させ、ある対気速度で最も大きな荷重がかかるように設計した。

(2)ビームウイング
 これもモナコのコース特性に合わせて空力のバランスレンジを最適化したもので、ロワーウイングのキャンバーを大きくし、ある対気速度で最大限の荷重を引き出すことを目的にしている。

(3)フロントコーナー
モナコの低い対気速度と高いブレーキエネルギーを考慮して、ブレーキ冷却用の吸気ダクトと排気ダクトを拡大した。

(4)ステアリング用フロントトップウィッシュボーン信頼性向上のために、フェアリングノッチを追加した。

 これだけのアップデートを投入したにも関わらず、レッドブル・ホンダRBPTの2台は前戦エミリア・ロマーニャGPに続き、初日に苦しんだ。フリー走行1回目はトップタイムを奪えなかっただけでなく、トップ10圏外に脱落。マックス・フェルスタッペンが11番手、チームメイトのセルジオ・ペレスは12番手だった。

 ソフトタイヤを履いたフリー走行2回目ではフェルスタッペンが4番手、ペレスも8番手とポジションを上げて2台ともトップ10に入ったが、フリー走行1回目でレッドブル・ホンダRBPT勢2台よりも上位につけていたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)とRBの2台がフリー走行2回目でソフトタイヤを履いていなかったことを考えると、レッドブルのふたりのパフォーマンスは見た目よりも低いのかもしれない。

 順位だけではない。乗り心地が悪い。フェルスタッペンはこう不満をぶちまける。

「かなり厳しい初日だけど、こうなることはモナコに来る前から覚悟していた。バンプを越えるたびにマシンは大きく跳ね、ラップタイムを落とした。このコースでは小さなジャンプひとつでウォールにぶつかってしまう。この問題を解決するために、週末に向けて解決策を検討している。一般的に、この問題はセットアップで解決するのが少し難しく、すぐに解決できるものではないが、一晩かけて取り組むつもりだ。フェラーリが速そうだが、相手のことを考えている暇はない。一晩かけて問題点を洗い出し、予選に向けてマシンの走りを改善したい」

 硬すぎるサスペンションと低すぎる車高により、バンプに弱いという問題は昨年のシンガポールGPと同様だ。昨年のモナコGPでも同じだったが、フェラーリやマクラーレンといったライバル勢が昨年の前半は停滞していたため、それが顕著な問題となって見えなかっただけだった。

 いま、その問題は現実のものとなって、レッドブル・ホンダRBPTを苦しめている。