6月14〜16日にイタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開幕するFIM女子世界選手権(FIM Women's Circuit Racing World Championship 以下:WorldWCR)に参戦する平野ルナ(Team Luna)が、5月中旬にイタリアのクレモナ・サーキットで行われた公式テストを終え帰国。開幕戦を直前に控え、初テストの様子、そして日本人ライダーのパイオニアとして初チャレンジする意気込みを聞いた。

 2024年から始まるWorldWCRの公式テストが5月16〜17日にクレモナ・サーキットで行われた。平野は単身でイタリアに渡ったが、海外は2019年にEWCセパン8耐に出場して以来。ひとりで行くのは初めてのことだった。

 無事にミラノ・マルペンサ空港に着くものの、800m先のホテルに行くために悪戦苦闘。朝早くに着いたため歩こうとするが、高速道路のため徒歩は無理。シャトルバスの停留所は5カ所あり、それぞれの場所で1時間ほど待つがつかまらず、タクシーは近すぎて乗せてくれない。こんな状況をXに投稿していたところ見かねたジャーナリストの伊藤英里さんがホテルに連絡して、ようやくチェックインできたのがマルペンサ空港に到着してから8時間も経ってからだった。

 メカニックは全日本ロードJSB1000クラスを戦っている関口太郎の知り合いに探してもらったイタリア人のマヌさん。ホテルに迎えに来てもらい、スマートフォンの翻訳機能を使いながらコミュニケーションを取り、クレモナ・サーキットに到着。ヤマハYZF-R7とご対面となった。

「R7はブリヂストンの走行会でちょっと乗っただけでしたが、他のライダーはチームで参加していて、R7で走り込んで来ていたようです。私がほとんど初めて乗ったと話したら“信じられない”と驚かれました(笑)。初日は、ハンドルがおかしくて、メカニックに“直して欲しい”と何度も調整してもらったのですが、根本的な部分から曲がっていました。初日は6セッションあったのですが、4セッション目で雨が降ってきてしまい、ちゃんとした状態でドライは走れず終いでした」

 クレモナ・サーキットは、スーパーバイク世界選手権(WorldSBK)も今年初開催となるコースで9月20〜22日にWorldSBKは第10戦、併催のWorldWCRは第5戦として行われる。

「岡山とSUGOを足して2で割った感じで、パッと見た目はフラットなんですけれど、セパンの1、2コーナーみたいにくだる感じもありますが、コース全体がほぼ見渡せるので観戦にはいいと思います。シーズン後半戦にあるサーキットなので、どうせなら開幕戦のミサノ・サーキットを走りたかったですね」

 テスト2日目は、7セッション予定されていたものの、写真撮影で1セッションがなくなり、オーガナイズにクエスチョンマークもあったものの、何とか走り込み、21人中15位で初テストを終えた。

「R7はパワーがなく車体も軽くないので、もさもさした感じですね。コーナリングスピードを抑え過ぎてもよくないですし、メリハリをつけないと加速しないので、マシンのピッチングをどうすればいいか悩みどころです。レベルは、トップのアナ・カラスコ選手はさすがに速いですが、全日本ロードST600だと中間層くらいという印象です。まだまだ詰める部分ばかりなので、常にトップ6を狙っていきたいと思っています」

 WorldWCRは全6戦ともWorldSBKの併催で行われる。それぞれ2レース制となっており、全6戦12レースでシリーズが争われる。もちろんテストをしたクレモナ・サーキット以外は、初めて走るコースとなる。シリーズを戦うバジェットや渡航費などの諸経費は自分持ちとなっており、支援を呼びかけている。

「テスト後にタイヤ代とか消耗品は分かるのですが、保険代としてよく分からない項目で請求があり、これがまた高いんです。当初の予定より多くかかることになりそうなので、厚かましいですがご支援をお願いしています。今まで培ってきた経験を活かして全力で頑張りますので、応援よろしくお願いいたします」