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 快進撃を続けるロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手。今季唯一の懸念とされていたのが得点圏打率だ。初ホームラン後、打撃の状態を上げても得点圏では凡退するケースが見られていたが、最近変化が現れてきた。その変化や背景にある出来事は何か。さらに言えば、今季は得点圏の場面で何か1つ足りなかったものがあるが、それは何だろうか?
 

 
 開幕直後しばらくホームランがなかった不安がうそのように、現地時間4月28日終了時点で打率.336、ホームラン7本を記録しているドジャースの大谷翔平選手。
 
 その成績に関し、唯一の懸念点が、走者を2塁ないしは3塁に置いた得点圏での成績だ。開幕戦でのタイムリーヒットの後、18打数連続で得点圏でのヒットがなく、4月28日時点も得点圏打率が.176にとどまる大谷翔平選手。その得点圏での成績は今後どうなるのか。
 
 成績の推移からは、得点圏の成績に変化の兆しが出てきた。これには打席のアプローチの変化があり、裏付けとなるデータ、変化のきっかけとなる打席や出来事も存在する。
 

チャンスで打てないと言われていたが…

 
 大谷選手の得点圏での課題につき、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督がインタビューで指摘したことがある。現地時間4月16日のワシントン・ナショナルズ戦の直後だ。
 
 この試合で大谷選手は、ナショナルズ先発のパトリック・コービン投手に対し、得点圏での3打席でいずれも初球を打って凡退。
 
 この直後、ロバーツ監督は「大谷は得点圏でアグレッシブになりすぎ。もっとじっくり球を見るべき」と発言。大谷選手の得点圏の成績が上がり出したのはその直後だ。大谷選手の成績を3期間別に分けると以下のようになる。数字は、左から、打率/出塁率/長打率/OPSだ。
 

・4月2日まで(ホームランがない時期)
全体:.242/.297/.333/.631 得点圏:.100/.091/.100/.191
・4月3日〜16日(今季第1号以降)
全体:.408/.444/.837/1.281 得点圏:.000/.000/.000/.000
・4月17日〜28日(ロバーツ監督の言及後)
全体:.325/.426/.650/1.076 得点圏:.333/.474/.467/.940

 

 
 実は、大谷選手は、得点圏でほぼ打てなかった4月3日〜16日でも、得点圏以外の打率は.500を記録していた。ホームランが出ず不振とされた4月2日までも、得点圏以外の打率は.304を記録していた。
 
 対して4月17日〜28日は得点圏とそれ以外の打率(.320)が拮抗している。得点圏の長打も、4月24日のナショナルズ戦で今季初めて記録(二塁打2本)した。
 
 出塁率も打率以上に注目すべき点といえる。得点圏での4月17〜28日の出塁率が4割台後半なのは、この場面で4月16日以前になかった四球を4つ選んでいるからである。
 
 その象徴が4月20日のニューヨーク・メッツ戦で、4度の得点圏の機会で3四球を選んだ。得点圏での1打席あたりの投球数は、4月16日以前は3.33球だったのが、17日〜28日は4.58球に増加した。
 

監督の助言が功を奏し…?

 
 ここで、大谷選手が4月17〜28日に得点圏で打ったヒットに関する投球をまとめた。

 
 丸数字は投手が投じた投球数だが、5回中3回のケースで5球目以降をヒットにしている。球種別には、5球中3球がフォーシームとなっている。98.2マイル(約158キロ)のインコースのフォーシームは、トロント・ブルージェイズの菊池雄星投手から今季メジャー最速となる打球を打ったコースだ。
 
 これらは、状態が上がったことで、開幕直後に苦戦していた球を捉えられるようになった結果ともいえる。紫の丸は、4月16日に上記コービン投手から得点圏で凡退したコースだが、今季得意の外角高めに近い、90マイル台(約144キロ)前半のシンカーを打ち損じている。
 
 以上から、大谷選手が得点圏でじっくり球を見極めるようになったことが、得点圏打率の向上につながったことを反映している。デーブ・ロバーツ監督のフィードバックをうまく取り入れ結果を出した感じだ。
 
 もっとも、4月25〜28日に限った大谷選手の成績は、得点圏で9打数1安打1四球、それ以外で8打数1安打と、いずれも直前に比べ下降傾向にある。今後の変化はこれから1週間の打撃内容にかかり、この記事が出る頃にはその方向性も見えているはずだ。
 

得点圏でのホームランは…?

 
 大谷選手は、4月28日まで、得点圏で今季まだホームランを打っていない。同日までの7本のホームランは、いずれも得点圏に走者がいない場面で出たものだ。
 
 過去の数字からは、大谷選手が得点圏で極端にホームランを打てなくなる打者ではない。2021年〜2023年の得点圏とそれ以外のAB/HR(ホームラン1本に必要な打数)は以下に推移した。特に2022年は得点圏の方がホームランの確率が大幅に高い。
 
2021年:得点圏10.2、それ以外12.1
2022年:得点圏8.5、それ以外22.0
2023年:得点圏14.4、それ以外10.7

 
 今季(現地時間4月28日まで)の得点圏以外でのAB/HRは12.6と、過去3年の数字と比べても遜色ない。私は、得点圏でもホームランが出るのは時間の問題と思う。
 
 私の記憶に一番強く残る、得点圏での勝負強さを示した大谷選手のホームランは、ロサンゼルス・エンゼルス時代の2022年8月31日、ニューヨーク・ヤンキースのエース、ゲリット・コール投手から打った逆転の3ランホームランだ。
 
 6回裏1死1、2塁、2点ビハインドでコールからバックスクリーンに叩き込み、エンゼルスを3-2の勝利に導いたあの一発だ。現在の状態からみて、こうしたホームランも今季のうちに出ない方が不思議である。
 
 まとめると、じっくりボールを見極め四球でつないでいく打撃ができれば、大谷選手自身のスケールアップとともに得点圏での成績も上昇していくはずだ。
 
 ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン選手に囲まれた現在の打順はこの打撃をするのに最高の位置にある。それが結果的にドジャースをポストシーズン進出に近づけるだろう。

 
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【了】