森町の小国神社の名物となる土産を作ろうと、有志が商品開発を進めていた和菓子「こづち」が完成した。ご祭神の「大黒様」ゆかりの小づちを模した餅入り最中で、掛け紙は日本を代表する書家杭迫柏樹(くいせこはくじゅ)さん(89)が揮毫(きごう)した。神社境内で販売を始めた。 (牧田幸夫)

 構想から10年がかかった。発案した氏子で元町議の榊原淑友さん(74)は「赤福餅(三重県伊勢市)や法多山の厄よけ団子のような多くの人に愛される『あんもの』のお土産を作りたかった」という。こだわったのが小づちの形。金型も8年前に完成していたという。

 しかし、膨らみのある形のため、中身があんだけでは量が多すぎるという問題が浮上。そこで赤福餅を参考に、あんと餅を入れることにした。

 製造販売を担うのが町内の和洋菓子店「菓匠あさおか」の浅岡英明さん(60)。甘すぎない最中を目指したが、あんの糖度を下げると、皮が水分を吸い、しなしなになるという。さらにあんと餅のバランスも考慮。試行錯誤を重ね、完成まで約3年を費やした。

 掛け紙の「開運招福 こづち」は名誉町民の杭迫さんに依頼。杭迫さんは200枚も書いた中から「3日間見続けて、これなら大丈夫」という1枚を提供した。最中を試食し「ボリューム感があって食べ応えがありますね」と納得した様子だった。

 打田文博宮司は「時代とともに最中は進化していくかもしれないが、『こづち』の名前は永久に変わらない」と話し、新名物の誕生に期待を寄せた。

 「こづち」は1箱3個入りで600円。販売は小国神社のみとし、1日あたり30箱程度という。(問)菓匠あさおか=0538(85)2440