将棋の藤井聡太叡王(21)=竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖との八冠=に伊藤匠七段(21)が挑戦する第9期叡王5番勝負第2局が20日午前9時、石川県加賀市の「アパリゾート佳水郷」で始まった。持ち時間は秒単位で消費されるチェスクロック方式の4時間で、使い切ると1手60秒未満の1分将棋になる。同日夕方ごろ決着の見込み。

 戦型は両者得意な角換わり。後手の藤井叡王が銀を置くことの多い「3三」の地点に金を置く、公式戦では初採用の手を指すと、伊藤七段は1筋の歩を5段目まで突き越す前例があまりない陣形に。それでも両者の指し手は早く、26手目に藤井叡王が7筋の歩をぶつけて開戦し、8筋で歩交換した飛車を4筋に回り、激しい展開に。

 昼食休憩明けの伊藤七段の39手目以降は互いにじっくり時間を使う展開となり、2時間後の午後3時ごろ、藤井叡王が44手目を指した時点で午後のおやつが運ばれた。藤井叡王が「ペコパフ(じわるバタープレミアム)」と金沢湯涌サイダー柚子乙女、伊藤七段は「プレミアムショートケーキ」とアイスティーを注文した。

 両者の公式戦対局成績は藤井叡王の11勝0敗1持将棋(引き分け)で、タイトル戦は昨年度の竜王戦、棋王戦に続く3度目の対決。藤井叡王は勝てばタイトル戦の対局17連勝で故大山康晴十五世名人のもつ最多連勝記録に並び、自身の持つタイトル戦連覇記録22の更新へ王手となる。

 全八冠を保持している藤井叡王は現在、同じ愛知県出身の豊島将之九段(33)を挑戦者に迎え第1局に勝利した第82期名人戦7番勝負(2日制)も進行中。この日の叡王戦第2局から中2日の23、24日には千葉県成田市の「成田山新勝寺」で名人戦第2局を迎える。さらに中7日の5月2日に叡王戦第3局、それから中5日の同8日に名人戦第3局というハードスケジュールになっている。