◇コラム「番記者が見た」

◇3日(日本時間4日)MLB ドジャース4―3ブレーブス(ロサンゼルス)

 ドジャースの大谷翔平が今季初めて「カモン」の雄たけびをあげた。昨年のWBCの準決勝メキシコ戦で「カモン」3連発を見せたが、昨季も、7月のヤンキースとの試合で同点2ランを放った時にこの言葉を出した。

 たびたび、お目にかかれる「カモン」ではない。WBCのような痺れる試合や、相手が名門や強豪でアドレナリンが噴き出て貴重な一打が出ると、自然とベンチに向かって両手を持ち上げるように掲げて「カモーン」と叫ぶ。

 相手はプレーオフの最大のライバルともなりそうなブレーブス。ナ・リーグ西地区1位を快走するドジャースだが、その勝率を上回るチームで、5万人を飲み込んだスタジアムに、大谷の闘志は心の底から湧き上がったのだろう。

 同点打を打った球は、外に逃げるチェンジアップ。追い込まれていて、見逃せば完全にボールだったが、大谷は長い腕を必死に伸ばして、片手1本でバットに当てて食らいついた。打球は遊撃手の横を抜けて中前に転がった。執念が実った一打だ。

 まだ5月とはいえ、強豪同士の戦いにファンのボルテージは上がった。プレーオフにも似た雰囲気が、緊迫感を生み出したのだろう。大谷が切望する「ヒリヒリした戦い」。今季は、大谷の「カモン」が何度出るのか。(阿部太郎)