将棋の藤井聡太名人(21)=竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖との八冠=に豊島将之九段(33)が挑戦する第82期名人戦7番勝負第5局は27日午前9時、北海道紋別市のホテルオホーツクパレスで指し継がれ、後手の豊島九段が50手目を考慮中に再開から1時間が経過して午前のおやつが運ばれた。

 豊島九段が16手目に8筋の飛を4筋に動かす、シリーズ初の振り飛車を採用。第4局で初勝利を挙げた豊島九段が勝負手で逆襲に挑んだ。藤井名人も35手目に、玉を1段上がった9筋の香車の下に潜り込み、穴熊を金銀4枚で囲う最強の堅陣に構え相手の攻撃に備えた。藤井名人の47手目、封じ手は飛車先の歩を突く一手で、豊島九段はすぐに同歩と応じたが、続く49手目、藤井名人が5筋中段まで上がっていた豊島九段の金に歩をぶつける一手を指すと、豊島九段の手が止まった。

 午前のおやつは藤井名人が「アザラシのお昼寝シフォン」とアイスティー、豊島九段は「昭和レトロ花園プリン」を選んだ。本局は同日夜に決着の見込み。

 両者は過去37局対戦し、藤井名人の25勝12敗。藤井名人がプロデビューした直後は豊島九段が6連勝、最近は藤井名人が12連勝していたが、本棋戦第4局で豊島九段が連敗を止めた。タイトル戦では5度目の顔合わせで過去は藤井名人が番勝負4連勝。叡王、竜王を獲得、王位を2度防衛している。藤井名人は第4局に敗れストレート防衛は逃したが、本局に勝てば名人戦初防衛、タイトル戦初挑戦からの22連覇を達成する。また藤井名人は伊藤匠七段(21)を挑戦者に迎え1勝2敗とかど番となっている第8期叡王戦5番勝負第4局を31日に控えている。