九州エリアでは、大地の恵みを生かした個性豊かなコスメが充実。

「自分だけ心地いい」から、「環境や社会にとっても、心地いい」を考える人が増えてきました。サステナブルなフードやホテルを選ぶように、コスメにおいても、地球の未来を想い、循環させる仕組みづくりを追求した「サステナブルコスメ」を選びたいものです。

 そこで、ナチュラル&オーガニックライフ専門のPR会社「ラキャルプ」の代表で、「サステナブルコスメアワード」の審査員でもある新井ミホさんに、ここ数年、日本でも急増しているというサステナブルコスメの中から、選りすぐりのものを教えていただきました。ぜひ注目してみてください。

 第5回は豊かな自然に恵まれた九州篇その1です。


地域を元気にしたい! との想いのもと「赤紫蘇」の無農薬栽培に挑戦

◆【福岡県】シズージュ「ホワイトエッセンスローション」


ホワイトエッセンスローション 100ml 5,280円/パルセイユ

「シズージュ」を手がけるのは、自社農園での原料栽培や地元・芦屋町の生産者との連携に積極的に取り組みながら、純国産の和コスメを企画・販売する「パルセイユ」。

 日本の気候と風土に合った“日本人のためのスキンケア”を考え、日本人が長年親しんできた食文化からヒントを得て生まれたシリーズです。


地元の農家さんたちと共に、無農薬で赤紫蘇栽培に取り組んでいる。

 中でも着目したのは、古くから梅干し作りに使われてきた赤紫蘇。赤紫蘇に含まれるポリフェノールには強い防腐力と抗菌作用があるほか、漢方では風邪や胃腸の症状などに用いられています。

 赤紫蘇を無農薬で栽培することは難しいといわれていますが、提携する農家さんの理解と協力のもと、成功させることができたのだとか。

 手間ひまをかけて育てた赤紫蘇は丁寧に収穫し、ビタミンや酵素が壊れないよう、低温による独自抽出法により時間をかけてじっくりエキスと精油を抽出します。1000キロの赤紫蘇生葉から、わずか1キロの精油しか得ることができないそう。

 この「ホワイトエッセンスローション」は、そんな貴重な赤紫蘇の精油に加えて、ビタミンCが豊富な「ダイダイ」、和製ハーブの一種で肌の新陳代謝を促進させ、バランスを整えるサポニンを豊富に含む「オタネニンジン」などの生搾りエキスを100%使用した、リッチな化粧水。

 赤紫蘇ならではの爽やかな香りと、濃厚ながらもさらりとしたテクスチャーが特徴で、同じシリーズのオイルと一緒に使うと、さらにお肌がしっとり、もちもちに仕上がります。

「地方創生、地元への貢献を目指し、耕作放棄地を活用した畑づくりにも取り組んでいます。今後も、可能な限り地元で農薬や殺虫剤、防腐剤を使わずに原料を製造し、安心してお使いいただけるコスメを展開していきます」(シズージュ担当者)

パルセイユ

電話番号 093-221-5517
https://shizooju.com/

地元で作られた酒粕やライムをはじめ、植物の力を閉じ込めた「生せっけん」

◆【福岡県】soel「 LIVING-OIL SOAP GOLDEN LIME 生せっけん」


LIVING-OIL SOAP GOLDEN LIME 生せっけん 100ml 3,400円/Lohb

 福岡県久留米市を拠点に、生命力豊かな植物の栽培や抽出方法にこだわり、不要な成分を極力含まないホリスティックスキンケアを追求する「soel(ソエル)」。「イキテイルオイル」をテーマに、製品のベースとなるオイルはすべて低温圧搾法で“生きたままの天然成分”を抽出。

 例えばゴマ種子油であれば、無農薬で栽培されたゴマを収穫後に人の手で選別し、昔ながらの石うすで15〜17度の低温でゆっくり時間をかけて搾ります。

 このゴマ種子油をはじめ、バオバブ種子油やオリーブ果実油などの上質な植物油や、久留米市の日本酒と酒粕の専門店「酒乃竹屋」の酒粕などをベースにした「生せっけん」はブランドを代表するアイテムのひとつ。


低温圧搾法で“生きたままの天然成分”を抽出して作った植物油を使用。とろっとなめらか。

 せっけん職人が7年かけて完成させた独自の「熟成釜焚き製法」で、手作業で作っています。さらに「LIVING-OIL SOAP GOLDEN LIME 生せっけん」には、佐賀県上峰町の農場「RUSH FARM」で防カビ剤や農薬、防腐剤、化学肥料などを一切使わずに、丹精込めて栽培されたライムの果皮から抽出したエキスが配合されています。

 一般的に、ライムは熟す前の緑色のものを収穫しますが、この生せっけんには樹上で黄色くなるまで完熟させた「ゴールデンライム」が使われているのが特徴です。

 しっかり熟したライムの果実は天然のビタミンCが豊富で、使う度に気持ちをリフレッシュできそうな爽やかな香り。


ライム果皮から抽出したオイルに加え、マキベリーオイルやクランベリーオイルなども配合。

 濃密な泡で顔をやさしく包み込むように洗った後は、肌はさっぱり、もっちり。毛穴やテカリが気になる人をはじめ、乾燥によるくすみ、ざらつきが気になる人にもおすすめです。

「植物の力を実感していただくために、そして、お肌につけるもの、毎日使うものだからこそ、安心して使っていただくために……。ライムだけでなく、世界中から厳選した植物の恵みを余すことなく、福岡県久留米市から丁寧に真心を込めて作った製品をお届けしたいと思っています」(soel担当者)

Lohb-ローブ-

問い合わせ 0942-65-9331
https://soel-oil.jp/

毎日の歯みがきタイムを、自分や環境と向き合うひとときに

◆【宮崎県】TENMEI「MINDFUL TOOTHPASTE」


MINDFUL TOOTH PASTE 50g 4,990円(定期購入 初回1,990円 2回目以降3,990円)/TENMEI

 単に歯を磨くだけでなく、歯みがきをしながら「自分により向き合える時間=マインドフルネスな時間を作る」ことを目的に誕生したTENMEI「MINDFUL TOOTHPASTE(マインドフルトゥースペースト)」。

 一般的なスマホユーザーで、仕事でもパソコンを使う人は、1日約9時間45分をデジタルに費やすとされ、また私たちは江戸時代の人たちの1年分の情報量に毎日接しているといわれています。代表の河野瑞輝さん自身も、記憶力の低下や思考がまとまらないなど脳疲労、デジタル疲労に悩まされていたときに「マインドフルネス」に出合ったそう。


クロモジの中でも希少な品種「ケクロモジ」を使用。森林浴をしているような爽やかな香り。

 そして、忙しい現代人に寄り添い、心を整えるマインドフルネスな時間を身近に取り入れられるものとして、毎日の習慣である歯みがきにたどり着きました。

 口臭を防ぐ「ナタマメ」や「ミント」、虫歯を防ぐ「キシリトール」、歯のエナメル質を傷つけずに汚れを取り除く「ヒドロキシアパタイト」など天然由来成分のみを使用。拠点である宮崎県美郷町に自生するクロモジとユズから抽出した2つの香りをブレンドし、日本人がホッとするような心地いい香りに仕上げています。

 大切なのは、スマホ片手にダラダラ磨くのではなく、「今、目の前にあるもの(歯を磨く行為)」だけに意識を向けること。毎日の歯みがきタイムの数分間が、心整う瞑想的な時間に変わります。


宮崎県北部に位置する美郷町は、90%以上が山林に囲まれている。

「宮崎県美郷町は小さな山あいの町で、面積の90%以上が山林、人口は4,000人ほど。県内一の高齢化率で、過疎地域に指定されています。

 朝晩の気温差が20度を超えることもあり、この過酷な環境で育つ植物たちは、強い香りを持ちます。それは、生き抜くために必要な力であり、私たちに勇気を与えてくれる香りでもあるのです。今後も、そんな香りを大切にした、日々の習慣をアップデートするプロダクトの開発を進めていきます」(TENMEI代表・河野さん)

TENMEI

問い合わせ https://thebase.com/inquiry/tenmeijapan-official-ec
https://shop.tenmeijapan.com/

●教えてくれた人

新井ミホさん

2012年にナチュラル&オーガニックライフ専門のPR会社「株式会社LA CARPE」を設立。オーガニックコスメ&フード、マクロビオティック、薬膳、フレグランスブランド、クリニック等のブランディングやPRコンサルティング業務に携わる。
https://lacarpe.jp/

文=河西みのり
撮影=釜谷洋史