古くから良いとされてきた素材の魅力に改めて触れられるコスメの数々。

「自分だけ心地いい」から、「環境や社会にとっても、心地いい」を考える人が増えてきました。サステナブルなフードやホテルを選ぶように、コスメにおいても、地球の未来を想い、循環させる仕組みづくりを追求した「サステナブルコスメ」を選びたいものです。

 そこで、ナチュラル&オーガニックライフ専門のPR会社「ラキャルプ」の代表で、「サステナブルコスメアワード」の審査員でもある新井ミホさんに、ここ数年、日本でも急増しているというサステナブルコスメの中から、選りすぐりのものを教えていただきました。ぜひ注目してみてください。

 第6回は豊かな自然に恵まれた九州篇その2です。


豊かな里山で育った植物をあますことなく活用

◆【福岡県】NEMOHAMO「ブライトニングローション」


ブライトニングローション 120ml 5,940円/ビオスタイル

 根も、葉も、茎も、花も、実も、植物“まるごと”の生命力を活かした京都生まれのオーガニックコスメブランド「NEMOHAMO(ネモハモ)」。

 工場を構える福岡県芦屋町の有機JAS認証を取得した里山に自生する植物をはじめ、その一角で土づくりから行う自社農園で育った植物、長崎県対馬にて無農薬栽培した「オタネニンジン」などを原料にスキンケアやヘアケア、ボディケアアイテムを展開しています。

「ブライトニングローション」は、水を一滴も加えず、植物が保持している水分を抽出した「植物生体水」を100%使用した化粧水。


古くから生薬としても活用されているオタネニンジンを使用。

 主成分となるのは、周囲を海と山に囲まれた自社農園で化学肥料を使わずに育った「カキドオシ」。垣根を越えて繁殖するほどたくましい生命力を持つことからその名前がついたシソ科の植物で、古くから漢方薬としても用いられています。

 さらに、肌を整える効果が高いといわれる「マルベリー」や、生薬の一種で根に含まれるサポニン「ジンセノサイド」が美容にも高い効果が期待できるとされる「オタネニンジン」など、さまざまな植物のエキスが凝縮されています。

 濃厚ながらスッとお肌に浸透しやすく、つけ心地はなめらか。前後にオイルやクリームを重ねてもなじみやすい化粧水です。


ほどよくとろみのあるテクスチャーで、すっと肌になじむ。

「有機栽培や農薬不使用の植物を主原料としていることに加え、簡単に取り付け可能な詰め替えレフィルを採用していたり、化粧箱に再生紙を使用していたりと、製造工程の一つひとつが環境に配慮されているのもNEMOHAMOの特徴の一つ。人と地球にやさしいコスメを表彰する『サステナブルコスメアワード』ではこうした取り組みが認められ、三度のアワードを受賞し殿堂入りを果たしました」(新井さん)

ビオスタイル


https://nemohamo.com/shop/default.aspx

天然炭酸温泉水をベースにしたシンプル設計のスキンケア

◆【大分県】ラ・グレース「天然炭酸シリカ化粧水 SAISEI(再生)」


天然炭酸シリカ化粧水 SAISEI(再生) 150ml 4,840円/ガブ

 “10年後の美しさをお約束する”をミッションに掲げる「ラ・グレース」は地元・大分県阿蘇野で約700年前から湧き出る“天然炭酸温泉水”から生まれたブランド。

 化粧水の約80%は水。代表の永松陽子さんは「だからこそ、主原料の水にとことんこだわり、医療現場でも使用される天然炭酸温泉水にたどり着きました」と言います。


700年以上に渡り親しまれてきた天然炭酸温泉水を贅沢に使用。

 ラ・グレースでは、シリカが豊富に含まれた天然炭酸温泉水をベースに「細胞活性水」を独自開発。一般的な化粧水は主に精製水がベースですが、精製水は使わずに、すべての商品にこの細胞活性水を配合しています。

 もちろん、パラベンや石油系界面活性剤、鉱物油なども不使用。使う人を選ばない安全・安心のスキンケアアイテムを展開しています。

 ブランドを代表する化粧水「SAISEI(再生)」は天然由来成分99.5%、天然保湿成分98%。専門の研究機関にてヒアルロン酸やコラーゲンの産生促進が証明されています。

 とろみのあるテクスチャーで、シリカがお肌にみずみずしさを与え、キメを整えてくれます。また、角質を整え、血行を促進するなどの効果もあり、乾燥や肌荒れ対策にも◎。

 無香料なので、香りが苦手な人にもおすすめです。

「私たちは、限りある資源を守り、受け継ぐため、年間の生産本数の上限を設定し、過剰な在庫や廃棄処分になるものを出さないように心がけています。また肌だけではなく、ラ・グレースシリーズに使用している“天然の炭酸温泉水に含まれる豊富なミネラル成分”を活用したヘルスケア商品の開発を目指し、2020年より九州大学大学院、2023年より早稲田大学と共同研究を続けております。

 今後は細胞活性水のさらなる研究と開発に力を注ぎ、自然の恩恵をまるごと浴びるような体験を多くの方にしていただきたいと思っています」(ガブ代表・永松さん)

ガブ

電話番号 097-520-8500
https://www.gab-lagrace.com/

古くから使われてきた五島列島のツバキの持つ力を、最大限に用いたコスメ

◆【長崎県】五島の椿「椿酵母オイル」


椿酵母オイル(フェイス) 10ml 1,900円/五島の椿

 長崎県の最西端、大小140余りの美しい島々からなる五島列島。島には「藪椿(やぶつばき)」と呼ばれる固有種のツバキが約1,000万本も群生し、花咲く季節には訪れる人の目を楽しませています。


古くからツバキの名所として知られる五島列島。毎年2〜3月にかけて「つばきまつり」が開催される。

 島の特産物であるツバキを核に商品開発から消費までを循環させ、持続可能な産業と雇用を生み出すことを目的に立ち上げられた「五島の椿プロジェクト」からスキンケアブランド「五島の椿」は誕生しました。

 古来椿油の原料として用いられてきたツバキを約10年かけて研究し、花や葉、実、果皮、花から作られる酵母まで、余すことなく活用できることが判明。

 プロジェクト第一弾として作られた「椿酵母オイル(フェイス)」に配合されている椿酵母エキスには、全9種の必須アミノ酸すべてを含む、17種類ものアミノ酸が豊富に含まれています。

 また、世界初、ツバキの葉の表面にあるワックスエステルを独自に抽出した「椿葉クチクラ」を配合。ツバキは他の植物よりもクチクラ層が発達していて、乾燥や外部の刺激から葉を守る役割を果たしています。ヒトの皮脂の組成に近く、栄養価の高いこのオイルは肌のハリを保つと同時に、バリア機能をサポート。サラッと肌になじみやすいので、オイル特有のべたつき感が苦手な人でも使えます。

 椿酵母エキスと、低温真空蒸留という特別な方法で抽出したツバキのアロマ「ヤブツバキテルペン」を配合した「椿の葉 保湿水」とのセット使いもおすすめです。


オイルの原料となるツバキの種子は一つひとつ手作業で収穫、選別する。

「私たちは、美しい五島列島の自然の恵みを大切に守りながら、末長くお客様に寄り添えるスキンケアブランドでありたいと願っています。そして今後も、ツバキの持つ知られざる力を研究し続け、これまでにない商品を世の中に送り出すと同時に、五島の皆様の力を借りながら、地域に根付いた産業と雇用の創出に貢献できればと思っております」(五島の椿 担当者)

五島の椿

電話番号 0120-552-510
https://www.gotonotsubaki.co.jp/

●教えてくれた人

新井ミホさん

2012年にナチュラル&オーガニックライフ専門のPR会社「株式会社LA CARPE」を設立。オーガニックコスメ&フード、マクロビオティック、薬膳、フレグランスブランド、クリニック等のブランディングやPRコンサルティング業務に携わる。
https://lacarpe.jp/

文=河西みのり
撮影=釜谷洋史