“身内”が犯行を主導

 河川敷で見つかった夫婦の焼死体に端を発する事件は、ついに逮捕者が6人に達し、その全貌が少しずつ明らかになってきた。

 警視庁と栃木県警の合同捜査本部は、宝島龍太郎さん(55)と妻・幸子さん(56)の遺体を損壊した容疑で、5月6日に会社役員の関根誠端容疑者(32)を、翌7日に不動産会社役員の前田亮容疑者(36)を逮捕した。

 4月16日に発覚した事件を巡っては、すでに指示役とされる佐々木光容疑者(28)をはじめ、仲介役の平山綾拳容疑者(25)、実行役の姜光紀容疑者(20)、若山耀人容疑者(20)の合わせて4人が逮捕されている。今回逮捕された関根は、「この4人の背後にいた“黒幕”とみられる」(社会部記者)という。

 そもそも、関根は宝島さん夫妻の長女の“内縁の夫”。しかも、宝島さんが経営する飲食店でマネジャーを任されていたという。つまり、被害者の会社で運営にかかわった“身内”が犯行を主導した可能性があるのだ。

 ちなみに、関根と内縁関係にあった長女は、宝島さんが経営する会社の取締役だったが、今年1月に退任。その一方で、昨年9月には彼女を代表取締役として、飲食事業や美容サロン事業などを目的とする会社が設立されている。そして、この会社には、関根が役員として名を連ねる。

指示役との接点

 関根を巡って気になるのは、沖縄で逮捕された指示役・佐々木光との接点だ。事情通によると、

「佐々木は上野にある飲食店で客引きをしていました。店の場所は宝島さんがいくつもの店舗を展開する、いわゆる“宝島ロード”の周辺です。おそらく、そこで宝島さんから複数の店舗を任されていた関根と、佐々木に接点ができたと思われます。ただ、どうも関根が佐々木とたびたび会っていることを幸子さんが知り、関根を叱り飛ばしたようなんです。商売敵であるよその店のスタッフと仲よくするなということなのか、幸子さんの真意は分かりませんが、幸子さんが命を落とした事件の容疑者としてその2人が逮捕される結果となったわけです」

 また、事件前日に当たる4月15日の深夜から、翌16日の未明にかけて、宝島夫妻が都内の空き家で暴行を受けた疑いが持たれる。当時の状況について、デイリー新潮では5月3日に、<【那須2遺体】宝島さん夫妻が襲われる直前、「夜景を眺めながら一緒にタバコを吸っていた仕事仲間」は“黒幕”に利用されていたのか>との記事を配信した。その内容を抜粋すると、

<最大の謎は、なぜ夫妻が暴行現場となった空き家に自ら足を運んだかという点である。ここでキーパーソンとなるのは、直前まで夫妻と行動を共にしていた「仕事仲間」の知人2人だ。事件前夜、宝島さん夫妻は午後9時半頃に、東京・上野で知人2人が借りたワンボックスのレンタカーに乗り込み、11時頃には品川区東品川の天王洲アイル駅近くまで移動して下車。30分後にまた車に乗り込んだところまでは分かっている。その後どこで下車したかは分かっていないが、宝島さん夫妻は最初に下車した場所から約2キロの距離にある品川区東五反田の空き家へ向かった>

<夫妻は2人が用意したレンタカーに自ら乗り込んでおり、無理やり連れ去られたわけではなさそうだ。移動の最中で、妻の幸子さん一人を車に残し、3人がタバコを吸いに外に出ている様子も防犯カメラに映っている>

“最大の謎”が明らかに

 なぜ宝島夫妻はわざわざ深夜に“物件の内見”へと訪れたのか。そして、どうして抵抗することなく自ら“事件現場”に向かったのか――。

 今回の逮捕劇で<最大の謎>が明らかとなった。実は、この記事に登場する「仕事仲間の知人2人」こそが、逮捕された関根と前田の両容疑者なのだ。そして、現在までのところ、関根が黒幕に利用されたのではなく、関根自身が“黒幕”だった可能性が高い。

 事件発生当初から、警察は防犯カメラの映像などから2人が宝島さん夫妻とこの空き家を訪れていたことを把握していた。逮捕前の警察による聞き取りに対し、「宝島さんから頼まれて物件を見に行っただけ」と容疑を否認していた2人だが、実際には2人が被害者夫妻を“事件現場”まで誘い出したと考えられる。

「今後、警察は関根と同居していた宝島さん夫妻の長女にも話を聞き、さらに事件の詳細に迫りたい考えです」(社会部記者)

 衝撃的な展開を迎えた事件は、どんな結末を迎えるのか。

デイリー新潮編集部