警察庁から人は出さない

 小室圭さんと眞子さんとの結婚問題をあげるまでもなく、ここ数年、秋篠宮家への世間の風当たりは強いとされている。そんな中、週刊文春(5月23日号)が大きく報じたのが「秋篠宮家の危機」という記事である。見出しには大きく「警察との暗闘」ともあるから穏やかではない。記事は、警備をめぐって警察庁が秋篠宮さまへの対応に苦慮し、すでにサジを投げたとも受け取れるいささかショッキングな内容となっていた。

 実際のところ、秋篠宮さまをめぐって霞が関からはどのような声があるのか。耳を傾けてみた。

「2019年5月のお御代替わりで皇嗣になられた秋篠宮家を支えるべく皇嗣職には必ず警察庁出身者の宮務官が必ず1人置かれていたが、1月の宮内庁人事でこれがゼロになったという点が今回の文春報道の端緒になっていましたね。秋篠宮さまは国民との距離を気にかけて、警備計画の簡素化をできるだけ望まれるものの、実際に警備を担う警察にとってはなかなか受け入れがたいものがあり、ある警察幹部が“もう、警察庁から人は出さない”と取材に答えたとのくだりもありました」

 と、担当記者。

警備面での不安と不満

 憲政史上最長を記録した安倍政権を支えた杉田和博内閣官房副長官は警察キャリア出身で、在任中、霞が関の目立ったポストに警察出身者を起用し、自身の影響力を行使してきた。宮内庁も例外ではなく、元警視総監で現在宮内庁長官を務める西村泰彦氏は現・上皇陛下の生前退位をとどこおりなく進めるべく送り込まれたとされ、同じく警視総監経験者の吉田尚正氏は今年2月、秋篠宮家を支える側近トップ・皇嗣職大夫に就いている。

「警察キャリア出身者が長官や皇嗣職大夫に就いているというのは、警察側が組織として霞が関内の存在感を高めるため枢要なポストを占めようとした結果だとの見方はあるでしょう。が、今回の報道にあるような警察幹部のコメントを踏まえると、秋篠宮さまとの溝がとても深くなっている印象がありますね。確かに“警察が感じていた警備面での不安と不満”については思い当たるフシがないわけではありません」(同)

 その1つが、2022年4月に秋篠宮ご夫妻が伊勢神宮に鉄道を利用されずに伊勢神宮を参拝された一件だという。

車だけで800キロの移動問題

「2022年4月、ご夫妻は秋篠宮さまが皇嗣となられて立皇嗣の礼を終えたことを報告するために伊勢神宮を参拝されました。新型コロナの感染対策という名目から、駅などに人が集まることを避けるべく800キロに及ぶ移動に鉄道ではなく車を利用されました」(同)

 これに対して、警備面では宮内庁のみならず警察から不満の声があがったとされる。

「車での移動距離が長すぎるだけに事故や事件に巻き込まれる可能性が高まりますし、警備担当者にかかる負荷は相当なレベルになります。メリットよりデメリットの方が大きく、コロナ禍とはいえ、もう少し合理的な判断があっても良かったのではないかと言われていましたね」(同)

 秋篠宮さまによる「国民への配慮」を100%受け止め、警備面で実行しようとすると、逆に警備的に万全ではなくなってしまう可能性が出てしまう。そんなジレンマを警察が抱えていたということだろうか。

進講の場で

「今回の報道で頭をよぎったのは、霞が関からあがる“秋篠宮さまへのさまざまな声”です。日本のみならず世界を取り巻く情勢について専門家が皇族方にご説明する『進講』という機会があります。これを大学教授のような学識者だけではなく、霞が関のキャリア官僚が担うこともままあるわけですが、彼らのうち何人かが当時のやり取りを振り返って、“できれば遠慮させていただきたい”と言っていたことがありました」(同)

 要するに、秋篠宮さまとうまくコミュニケーションが取れなかったということのようなのだが……。

「当人たちにとってはしんどい時間だったとのことです。“ご説明がまるで必要とされていないように受け止められた”と振り返っている人もいましたね」(同)

 今回の「危機」報道で、こうしたエピソードを思い出した人も少なからずいるようなのだ。

デイリー新潮編集部