投手陣が頼みの綱だが…

 巨人が9連戦を4勝5敗と負け越した。中日、DeNAには4勝2敗と勝ち越したが、最下位のヤクルトに3タテを喫した。それでも29試合を消化して13勝13敗3分の5割で2位、好調投手陣のおかげだ。

 とにかく打てない。打線が先に点を取って投手陣を楽にさせてあげる。これが全くできていない。

 いまは投手陣が頑張っているが、いつまでも続かない。1.90でリーグトップだった防御率も2.39、これから頼みの投手陣が落ちてきたら、目も当てられなくなる。

 3日からは東京ドームに首位の阪神を迎えて3連戦。この結果次第でセの貯金を独占している阪神は突っ走る態勢に入るかもしれないし、逆に巨人は下位へズルズルと下がっていく入口になるかもしれない。

 序盤の大事な3連戦だ。巨人にはなんとしてでも勝ち越してほしい。

覇気がない岡本和真

 巨人打線は不振が続く。ハッキリ言って、4番・岡本和真の責任が重大だと思う。主軸が機能しなければ他もおかしくなる。

 13試合連続3得点以下という球団ワースト記録更新があったが、巨人のチーム打率2割2分7厘、得点70はどちらもリーグワーストだ。岡本和、焦りがあるのか。甘いボールを見逃して、ボール球に手を出している。相手投手はまともに攻めてこない。これに合わせてしまっている。

 もっとドッシリと構えていればいいのに、ボール球を追いかけている。四球なら四球でもいい。こう割り切って打席に入ることだ。

 岡本和が9連戦で挙げた打点は1。前の打者との兼ね合いもあるだろうが、主砲にいい場面での一打が出ていない。これではチームは盛り上がらない。勝てない。いまの岡本和、気合は入っているのだろうが覇気がないようにも映る。他の打者たちも一緒になって沈んでいる。私の見るところ、セの6球団で最も1ストライク目を振っていない。フルスイングしていない。初球ではない。1ストライク目だ。

 これを簡単に見逃す。中途半端なスイングをする。追い込まれる。苦しくなる。こうなると、すべてのストライクゾーンをカバーしなければならない。当てにいってしまう。結果、思い切りいけない。相手の術中にはまっている。

 要するに内容が悪い、いや悪過ぎるのだ。ヤクルトの打者たちは1ストライク目から思い切り振っていた。余計、巨人の打者たちのスイングが目に付いた。しかも相変わらず打線をコロコロと変えている。いじっている。これではダメだ。

秋広はどうしたのか

 前回も記したが、一シーズンを通せば活躍する選手は決まってくる。阿部慎之助監督は門脇誠を1番打者で育てたい、こう話している。ならば腹をくくってやったらどうか。

 1番・門脇、2番・吉川尚輝、3番・丸佳浩、4番・岡本和、5番・坂本勇人、そして6番は大城卓三だ。この六人だ。

 萩尾匡也、佐々木俊輔、オコエ瑠偉らは「打ってくれたら儲けもの」の7、8番で起用する。いずれ梶谷隆幸が戻ってくるだろう。

 それにしても秋広優人はどうしたのか。いまだにファームだ。確かにオープン戦の成績は悪かったが、それほど調整に苦しんでいるのか。もう開幕から1カ月以上たった。昨年は実力で3番に座った。今季の飛躍が期待された選手だ。一発があるし、打率も残せる。一塁も外野もOKだ。

 新外国人選手、ルーグネッド・オドーア外野手が開幕前に帰国しただけに、その存在は重要だったはずだ。阿部監督との相性が関係しているのか。分からない。

選手を生かすも殺すも監督次第

 阿部監督はどうも萩尾、佐々木、オコエを使いたがる。彼らはあくまでも打ったら儲けものの選手たちだと思う。そして大城だ。すっかり沈んでしまった。いまは肉体的、さらに精神的にも弱り、迷っていると思う。

 お前はダメだ。現状、こう言われているのに等しい。阿部監督は小林誠司、岸田行倫を起用することが多くなり、大城の出番は激減している。でも打力を考えたら大城だ。

 大城がマスクをかぶると打たれる。阿部監督の頭にはこれがあるのだろうが、「打たれたのはお前だけの責任ではない。自信を持って頑張ってほしい」、時にはこう鼓舞してはどうか。選手を生かすも殺すも監督次第だ。大城、球場に行くのもイヤだと思っているのでは……勝手に推察している。

 3日の阪神戦は「長嶋茂雄DAY」、ドームは超満員だろう。阪神3連戦でふがいない戦いをしたら巨人ファンが離れるかもしれない。

 さて、来週はどんな話をしているだろう。威勢のいい話がしたいところだが。(成績などは2日現在)

柴田 勲(しばた・いさお) 1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部