2020年に日本女子オープン覇者である原英莉花が単独首位に立った。このときの優勝はコロナ禍の影響で無観客、大ギャラリーに囲まれたメジャー制覇を目指す。

「明日は1日、自分を信じてプレーしたい」

◆国内女子プロゴルフ<日本女子オープン 9月28日〜10月1日 芦原ゴルフクラブ 海コース(福井県) 6528ヤード・パー72>

 大会3日目、原英莉花がムービングデーにふさわしいゴルフを見せ、日本女子オープン2勝目に王手をかけた。

 1番パー5でグリーン手前のバンカーから7メートルに乗せてこれを沈めると、3番パー3では22メートルのロングパットをズドン。パー5の5番では8メートルに2オンして2パットと、バーディーを重ねていく。

 7番パー3では3パットのボギーを叩いたものの。8番パー4では9メートルを沈めてバウンスバック。

 バックナインに入ってからは少し勢いが止まったが、それでもこの日4アンダー。通算11アンダーとして、前日首位の菊地絵理香を逆転した。

単独首位から大会2勝目を目指す原英莉花 写真:Getty Images
単独首位から大会2勝目を目指す原英莉花 写真:Getty Images

「今日は運がよかったなと思います。スムーズにストロークできたのが(カップに)吸い込まれていくような感覚がありました。昨日は少し(パッティングが)プッシュに出てたので、順回転できる練習をしました。スライスラインがよく入りましたね」と笑顔を見せる。

 一番長い22メートルのバーディーパットを沈めた3番について「入らなかったら?」とたずねられ、「考えないようにしてました」と笑う。「難しいラインだったので、とりあえずショートしないように打った」のがピッタリはまった。

 福岡のザ・クラシックGCで開催された2020年に日本女子オープン初優勝を飾っているが、この時はコロナ禍真っただ中。無観客でのさびしいプレーだった。

 今回は、40年ぶり2度目の開催となる芦原GCとあって、この日も6960人の観客の多くが各ホールに陣取った。原と菊地の最終組について歩く観客も多く「本当にたくさん来てくださって力になります」とエネルギーにしている。

 日本女子オープンで何度も優勝争いをしながら勝っていない菊地が1打差、米ツアーでもまれている古江彩佳が4打差。5打差で稲見萌寧、森田遥も追ってくる。そんな最終日に向けて「いい形で終えられるよう、明日は1日、自分を信じてプレーしたい。盛り上がり過ぎないようにしたいな」と気持ちを引き締めた。

 勝利へのポイントは、初日から口にしている「自分が一番楽しむこと」と言い切った。コンディションがタフでも、追う立場でも追われる立場でも、これを貫くことができれば、大会2勝目はグンと近づいて来る。

 約2週間後(10月17〜20日)には米ツアーQスクールのステージIIも待っている。腰痛に悩まされ、5月にヘルニア摘出手術を受ける決断もした2023年。復帰8試合目でビッグタイトルが手にできれば、大きな弾みになるに違いない。

原 英莉花(はら・えりか)

1999年2月15日生まれ、神奈川県出身。2018年プロテスト合格。“黄金世代”の一人として18年から早くもシード獲得し、翌19年には初優勝。20年には日本女子オープン、JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップと公式戦2冠を達成した。NIPPON EXPRESSホールディングス所属。

小川淳子(ゴルフジャーナリスト)