定年後にも、再雇用や再就職で仕事を続ける方は増えています。 しかし現役時代と比較すると、給与が大幅に減ってしまうことも多いようです。 定年後に契約社員になったものの、月給は18万円ほどで「生活が厳しくなるため足りない場合は生活保護を受給したほうがいいのでは」と考える方も。 そこで今回は東京23区内に住む60歳単身者の場合に、定年後の給与が足りないという理由で生活保護は受給できるのかについて調べてみました。
給与取得があっても足りない分はもらえる? 生活保護の受給条件とは
生活保護は、生活に困っている人に対して、国が定める最低限の生活を保障し、自立を助長することを目的にした制度です。
原則として、以下のような努力をしても、自力で生活を維持できない場合に、受給対象者として認められます。
どのような努力なのか、新宿区「生活保護について」を基にご紹介します。
・能力の活用
能力に応じて働くこと(働く能力があり、仕事もあるのに働かない人は生活保護が受けられません。)
・資産の活用
土地・家屋、預貯金、生命保険、有価証券、貴金属、車などがあれば、売ったり解約して生活費にあてること(一部保有がみとめられているものもあります。)
・ほかの制度の活用
年金や手当など受けられるものは手続きをとること。
仕事をしていて給与所得がある場合でも、世帯全体の収入が少なくて国が定めた生活保護基準に足りない場合は、その不足分が支給されます。
定年後に給与が大幅に減って生活が厳しいと感じられる場合は、自身の収入と国が定めた生活保護基準を比較してみるといいでしょう。
「月給18万円」は生活保護の対象になる?
収入が国の定めた生活保護基準に満たない場合は、足りない分を生活保護で受給できる可能性があります。
では、月給18万円の場合はどうなのかシミュレーションしてみます。
まず、生活保護基準は年齢・地域・世帯数によって異なります。
例えば60歳単身で居住地が「1級地−1」の場合、最低生活費の目安は以下の通りです。
・第1類(おもに個人として必要なお金):4万6930円
・第2類(世帯として必要なお金):2万7790円
・経過的加算:1160円
・住宅扶助:5万3700円以内(実際の地代・家賃)
・合計:12万9580円
生活保護の受給資格を満たすには、収入が最低生活費を下回っている必要があります。
一般的に手取りは総支給額の75〜85%になるといわれていて、例えば月給18万円の手取りを80%で計算すると14万4000円です。
上記の計算から、月給18万円は生活保護の対象にならない可能性があることが分かります。
働けなくなったり年金が足りなかったりする場合は生活保護の検討もあり
60歳になり月給18万円の仕事に就けたとしても、この先何らかの理由で働けなくなる可能性もあります。
そうなると年金だけで生活していかなければならないでしょう。
年金受給者でも、受給額が生活保護基準を満たさない場合は、不足分を生活保護から受給できる可能性がありますから、生活福祉課に相談してみるといいでしょう。
生活保護を受給すると、国民健康保険証や後期高齢者医療証などは使えなくなりますが、けがや病気の治療をするための費用にかんしては、医療扶助が受けられるようになります。
病院に行く必要があるときは、福祉事務所に行って「医療券」を受け取り、それを持って生活保護の指定医療機関を受診すると治療を受けられます。
定年後も働き続ける体力・気力があればいいですが、働けなくなったり年金が足りなかったりする場合は、生活保護も検討できるでしょう。
定年後「月給18万円」だと生活保護受給は難しい! 生活レベルを見直してみよう
定年後の再雇用および再就職で、収入が大幅に減ってしまう場合は、収入が生活保護基準を下回る場合に、生活保護で不足分を受給できる可能性があります。
しかし60歳単身者で月給18万円の場合は、収入が多いと判断されて生活保護の受給は難しいと考えられます。
収入が減って生活が厳しいと感じられる場合は、生活レベルを見直して、節約できる部分はないか検討してみるといいでしょう。
出典
新宿区 生活保護について
基準額一覧表 生活保護基準一覧
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー