結婚は性別問わず、人生に大きな変化をもたらすライフイベントです。これまで全く違う環境で育ってきた2人が一緒に暮らすため、価値観のすり合わせが求められます。特にお金に関する考え方は後々大きなトラブルに発展するケースもあるため、早めの解消がおすすめです。   そこで今回は、パートナーが両親にお金を渡している場合の考え方や税制面の扱い方について紹介します。

年間110万円までなら贈与税はかからない

結論から申し上げますと、年間110万円までであればどのような形で両親にお金を渡したとしても贈与税はかかりません。そのため今回の事例のように、毎年110万円以下のお金であれば問題ないといえるでしょう。
 
贈与税は毎年1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除額である110万円を差し引いた金額に対して発生します。そのため、110万円以下の金額であれば贈与税の申告は不要となります。
 
しかし、金額が大きければ大きいほど、パートナーが両親に渡していると聞くとあまりいい気がしない方もいるかもしれません。大切な人の家族のためあまり強くは言えないものの、特に今回のケースのように結婚を考えている場合などは、もやもやとした気持ちが残ってしまうのは仕方のないことかもしれません。
 

もしも結婚後に毎年一人当たり10万円渡したら……

次に、もしパートナーが結婚後も両親に対してお金を渡し続けた場合の金額を考えてみましょう。毎年、父親と母親にそれぞれ10万円ずつ渡した場合で金額を算出します。
 

10年間渡し続ける場合

パートナーが1年間に父親と母親に10万円ずつ渡し続けると、毎年20万円の出費が発生します。10年間で20万円の出費が続くとトータルで200万円になります。
 
結婚して10年以内は、住宅を購入したり育児を控えたりするなどさまざまな出費が想定されるため、人によっては200万円は非常に大きな金額といえるでしょう。
 

20年間渡し続ける場合

20年間両親に10万円ずつ渡し続けた場合では、20万円の出費が20年間続くので400万円になります。20年間ともなると、子どもがいる場合は進学や習い事などでお金がかかる期間があり、家庭内で出費が必要なため「両親に渡すのはつらい」と感じるケースもあるかもしれません。
 

関係性を悪化させない断り方

結婚は当人同士だけでなくその家族も関係することであるため、「相手の両親にお金を渡してほしくない」と思っても、直接断るのは難しいでしょう。特にパートナーの両親が生活に困窮しているといった何らかの事情がある場合はなおさらです。
 
そこで、パートナーの両親と関係性を悪化させないおすすめの断り方を紹介します。
 

しっかりと理由を話し合ったうえでパートナーから提案してもらう

両親に対してお金を渡すのをやめてほしいという旨は、自分からでなくパートナーに伝えてもらうという方法があります。パートナーであれば血のつながった関係性のため、両親も検討しやすいでしょう。
 
ただし、その場合はなぜお金を渡すのをやめてほしいのか、しっかりと理由を話し合う必要があります。理由もなくただお金を渡してほしくないというだけではパートナーも納得しないかもしれません。
 
また、パートナーから伝えてもらう際に「結婚相手が言っていたからお金を送るのをやめる」という風に伝えられてしまい、あなたに対するネガティブな印象が残ってしまう可能性も考えられます。
 
結婚後は家庭の状況や今後のライフイベントに向けて必要な費用を話し合いつつ、必要に応じてパートナーに提案してもらうとよいでしょう。
 

物でプレゼントを用意する

毎年誕生日に10万を渡していた場合、急に「お金を送るのをやめる」と伝えると、両親は困惑し「自分たちのことは大切ではないのか」とネガティブな気持ちを抱いてしまう可能性があります。その場合はお金でなく、物でプレゼントを贈る方法もおすすめです。
 
10万円と高い金額ではなくとも、折に触れて季節の食べ物や両親の好きな物などを贈ることで気持ちが伝えられるでしょう。また、物を渡すだけでなく定期的に電話をかけたりコミュニケーションをとったりするとより良い関係性を維持できます。
 
可能であれば、誕生日に食事に誘ったり旅行に誘ったりするなどの方法もおすすめです。
 

結婚後のお金は事前に話し合おう

結婚後は夫婦二人で財産を築き上げていくため、お金に関する懸念事項は早めに話し合い、解決することをおすすめします。結婚してからお金に関する価値観の違いが出てくると結婚生活に影を落としてしまう可能性も考えられます。価値観をすり合わせて、すてきな将来を築きましょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー