固定残業代のある会社は、ブラック企業」というイメージがあるため、「待遇の良い会社で働きたい」と考えている就活生にとっては、不安を感じるケースもあります。しかし、固定残業代のある会社が必ずしもブラック企業であるとは限らないため、よく見極めることが重要です。   そこで本記事では、固定残業代が導入されている理由や固定残業代のある会社がブラックかどうか判断するポイントについて紹介します。

会社が固定残業代を導入する理由

会社が固定残業代を導入する理由は、主に3つ挙げられます。

●給与計算が楽になる
●無駄な残業を抑制できる
●給与を高く提示できるので応募者を集めやすくなる

まず固定残業代を導入すると、毎月の給与計算が楽になるという事務処理上のメリットがあります。また固定残業代には一定時間の残業代がすでに含まれているため、「残業代稼ぎ」を目的にした無駄な残業を抑制できる点も望ましいです。
 
さらに固定財業代のある会社は「基本給+固定残業代」を合わせた給与を提示でき、固定財業代がなく「基本給」しか提示していない会社よりも給与を高く見せられるため、応募者を集めやすくなるというメリットもあります。
 

固定残業代は就活生に悪印象になりやすい

固定残業代のある会社は毎月残業が発生することが予想されるため、就活生には悪印象を与えてしまう可能性があります。株式会社ワークポートの「ビジネスパーソンの残業に関する意識調査」によると、残業代が出たとしても「残業をまったくしたくない人(12.2%)」と「あまりしたくない人(50.3%)」は全体の62.5%にも上り、現代人は「手当が出ても残業したくない人」が多く、残業を避ける傾向が見られます。そのため、残業ありを前提としている固定残業代のある企業は、プライベートを重視する就活生からは敬遠されやすいでしょう。
 
ただし、固定残業代は実際の残業時間にかかわらず支給されるというメリットもあるため、残業をしてもよいと考えている人にとっては魅力的な条件に見えるかもしれません。
 

固定残業代のある会社がブラックか判断するポイント

固定残業代のある会社がブラックかどうか判断するには、「離職率」「超過分の支払い」「残業時間」の3つがポイントになります。どのような点に注意すべきかそれぞれ見ていきましょう。
 

離職率

固定残業代のある会社がブラック企業か判断する場合、参考になるのが「離職率」です。
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によると、入社してから3年以内の離職率は新規高卒が37.0%、新規高卒が32.3%となっており、約3割程度が3年以内に会社を辞めていることがわかります。
 
つまり、離職率が3割を超える会社は離職率が高めで労働環境があまりよくないことが予想されるため、ブラック企業を避けたい場合は「ハローワーク」や「四季報」などで離職率を事前にチェックしておきましょう。
 

超過分の支払い

固定残業代が導入されていても、残業時間がオーバーしてしまった場合は「超過分」も別途支給されます。しかし、ブラック企業では超過分について「未払い」になるケースがあるため注意が必要です。
 

残業時間

固定残業代に含まれる時間は、原則として「45時間」が上限となります。なぜなら、時間外労働の上限は労働基準法によって「月45時間」「年360時間」と決まっているからです。そのため、固定残業代に含まれる残業時間が45時間を超える場合には違法なブラック企業である可能性があるため、応募は慎重に検討しましょう。
 

固定残業代のある会社は残業を避けたい人には不向きな可能性がある

固定残業代のある会社は、毎月残業が発生することが予想されるため、残業を避けたい人にはあまり向いていません。しかし、固定残業代は残業時間にかかわらず支給されるというメリットもあるため、残業に抵抗がない人とは相性がよい可能性もあります。
 
ただし、固定残業代のある会社の中には「超過分の未払い」や「残業時間」を巡ってトラブルになるケースなどもあるため、ブラック企業かどうかを判断する際には、四季報などで事前に離職率をチェックしておくと参考になります。
 

出典

株式会社ワークポート ビジネスパーソンの「残業」に関する意識調査
厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)
厚生労働省 時間外労働の上限規制
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー