健康のために、白米ではなく麦ごはんを選んで食べているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。   麦ごはんには大麦が含まれているため何となく健康に良さそうというイメージを持っているものの、具体的にどのくらい栄養価が高いのかを知っている方は少ないかもしれません。実際に健康にいいのであれば、麦ごはんではなく白米のほうが一般的なのはなぜなのか不思議に思う方も多いでしょう。   この記事では、日本において大麦の価値がどのように変化してきたのか、栄養価の高さは白米と比べてどの程度違うのかご紹介します。

大麦は今より昔のほうが価値のある食べ物と認識されていた

日本人は昔から麦ごはんを食べていました。麦ごはんに含まれる大麦は、日本には紀元前300年頃に渡ってきた作物といわれています。
 
天下統一で有名な徳川家康は、健康オタクで大麦愛好家だったと伝えられており、73歳という長寿でした。大麦は健康的な価値があるものとして食べられてきたのです。
 
明治時代に大麦は米の3倍の面積で栽培されていました。それ程までに多く消費されていた大麦ですが、日本で価値が低くなってしまったのは、大麦が「貧乏食」という印象になってしまったことも原因といわれています。
 
1950年に米の価格が上昇していた際、池田勇人蔵相が参議院予算委員会で「所得の少ない方は麦、所得の多い方はコメを食うというような経済原則に沿ったほうへ持っていきたい」と発言しました。この発言によって「大麦は貧乏な人が食べるもの」という印象が付いてしまったようです。
 
1960年時点では、日本人の大麦の年間消費量は一人当たり約8キログラムでしたが、2010年には200グラムまで減少しています。
 

大麦は白米よりも価格が高い傾向がある

大麦は白米よりも価格が高い傾向があります。インターネット通販サイトで確認したところ、大麦と白米の10キログラムあたりの相場価格は下記の通りです。
 
・大麦 2880円(税込み)
・白米 2580円(税込み)

 
大麦は白米よりも10キログラムで300円程高くなっています。麦ごはんは大麦と白米と混ぜて炊くことが一般的なため、その場合は大麦のみを炊くよりも価格差は少なくなるでしょう。
 
値段は商品や購入する場所によって異なるため、あくまで例として参考にしてください。
 

麦ごはんに含まれる大麦は栄養豊富な食品

麦ごはんに含まれる大麦は栄養豊富で、食べることで健康にいい効果も期待できる食品といえます。
 
大麦には、食後の血糖値の上昇が穏やかという特徴があり、血糖値の上昇は通常の炊飯米に比べ2分の1程度になります。これは、大麦に含まれる糖質が少ないためです。最近は健康のために糖質制限をしている方もいらっしゃいますが、そのような方にとって大麦はうれしい食品といえるでしょう。
 
さらに、大麦にはビタミンと食物繊維が豊富に含まれています。
 
特に食物繊維は豊富に含まれており、玄米の約3倍、白米の約20倍にもなります。食物繊維が多い食品といえば「ごぼう」を思い浮かべる方も多いかもしれません。実は大麦はごぼうよりも食物繊維が多い食品なのです。
 
大麦に含まれる食物繊維には、水溶性食物繊維が豊富に含まれています。水溶性食物繊維には「血中コレステロールを正常化」「内臓脂肪の低減」「満腹感の持続」といったさまざまな作用があります。
 
このように、大麦には健康にいい成分が豊富に含まれているのです。
 

麦ごはんは健康増進が期待できる栄養が含まれた食品

麦ごはんは昔から日本人に好んで食べられていましたが「貧乏食」という印象が付いてしまったこともあり、食べる人が少なくなっていきました。しかし現在、大麦の価格が高くなったため、麦ごはんの方が白米よりも価格は高くなっています。
 
麦ごはんに含まれる大麦は、ビタミンや食物繊維を豊富に含んでおり、栄養豊富な食品といえます。
 
栄養が偏らないよう、食事はバランスよく摂ることが大切ですが「コレステロールが高い」「内臓脂肪が多い」といったお悩みがある方は、麦ごはんも摂取するといいでしょう。
 

出典

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 大麦の機能性と活用・利用拡大について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー