コンビニやスーパーなど食品を扱うアルバイト先では、廃棄予定の食品やお菓子をもらえることがあります。   しかし、廃棄予定の食品を持ち帰る行為は盗難などの犯罪に該当するかどうか気になるでしょう。そこで今回は、アルバイト先で廃棄処分の食品を持ち帰るリスクについて解説します。

廃棄処分の食品を持ち帰るのは犯罪?

まずは、廃棄予定の食品を持ち帰る行為が犯罪なのかどうかについて解説します。廃棄予定の食品類は捨てたものと認識されがちですが、実際には異なります。
 

「業務上横領罪」および「窃盗罪」の可能性がある

廃棄処分の食品を持ち帰ったりその場で食べたりする行為は、「業務上横領罪」または「窃盗罪」が適用される可能性があります。窃盗罪は10年以下の懲役または50万円以下の罰金、業務上横領罪は10年以下の懲役に科せられます。特に店舗側の許可をとらずに黙って持って帰っていた場合、罪に問われる可能性は高いでしょう。
 
また窃盗や業務上横領罪が発覚すると、即解雇の可能性もあります。このように食品を黙って持ち帰る行為は廃棄処分のものであっても非常にリスクが高いため、止めておきましょう。
 

廃棄予定の食品でも完全に捨てるまでは店のもの

廃棄予定の食品でも、店舗側に所有権があります。民法第3章第206条によると「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」と明記されています。つまり、完全に処分して廃棄するまではお店に所有権があるのです。
 
そのため、廃棄予定の食品を勝手に持ち帰ると「店のものを盗んだ」ことと同様に扱われます。また廃棄予定でなくても、賞味期限や消費期限の近い食品を従業員が勝手に廃棄処分品と判断して持ち帰ったり食べたりすることも禁止です。店舗によっては見切り品として食品や食材を割安で販売する可能性もあるため、従業員が勝手に判断してはいけません。
 

オーナーや店長が許可していれば可能

廃棄予定の食品を勝手に持ち帰る行為は禁止されていますが、事前に店舗オーナーや店長から許可を得ていれば問題ありません。そのため、持ち帰る場合には必ず許可を得ておきましょう。
 

廃棄する食品をもらうときの注意点

次に、アルバイト先で廃棄予定の食品をもらうときの注意点を解説します。廃棄食品をもらえるにしてももらえないにしても、勝手に持ち帰る行為は厳禁です。持ち帰るには必ず許可が必要であるため、以下の点に注意しましょう。
 

アルバイト先の先輩や同僚の許可に効力はない

持ち帰りの許可をもらうときは、店長またはオーナーなど店舗内で裁量権がある人に相談しましょう。アルバイト先の先輩や同僚などから許可を得ても効力はありません。
 
また窃盗罪などに発展した場合は、許可を出した先輩や同僚も罪に問われるかもしれないため、必ず店長クラスの人から取りましょう。
 

食中毒を起こす可能性がある

廃棄予定の食品は、基本的に賞味期限や消費期限が近いものです。持ち帰るなら、当日もしくは翌日には食べきりましょう。もともと捨てなければならない食品のため、長持ちはしません。
 
数日間置いておいたり保存環境が良くないところで置いたりしておくと、食中毒を起こす可能性もあり得ます。そのため持ち帰り食品を食べる際は、自己責任となります。
 

食品の持ち帰りで大切なのは店長やオーナーへの相談

店舗のものを勝手に持ち帰る行為は、非常にリスキーです。たとえ廃棄予定の食品でも、窃盗罪や業務上横領罪が適用されるため、持ち帰りたいときは必ず許可をとりましょう。
 
また食品に限らず、ボールペンや業務服であっても同様です。しかし、許可を得ていれば犯罪とみなされる心配はないため、報告・連絡・相談はアルバイトであっても徹底することをおすすめします。
 

出典

e-Gov法令検索 刑法 (第三十六章 窃盗及び強盗の罪)(第三十八章 横領の罪)
e-GOV法令検索 民法 (第三章第二百六条)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー