自転車事故が全事故に占める割合は年々増加傾向にあり、警察庁は16歳以上の自転車利用者にも、いわゆる「青切符」による反則金制度を導入する方針を決めました。   現在の自転車は刑事罰つきの「赤切符」による取り締まりが行われていますが、今後は軽微な違反でも反則金が課される可能性があります。   本記事では自転車に対して青切符が交付される制度の概要と、違反になる走行の一例などを解説します。

自転車の悪質な走行に反則金が課されることが閣議決定された

警察庁の資料によれば、自転車関連事故のうち「自転車対歩行者」の事故は平成28年から令和4年まで増加しており、全交通事故に占める自転車事故の割合も平成28年から徐々に上がっています。
 
自転車事故の要因を調べてみると、自転車事故のうち7割近くが自転車側に原因がある事故という調査結果もあります。安全不確認が最も多く、次に動静不注視、交差点安全進行なども主な要因です。
 
自転車による悪質な走行が後を絶たない昨今、政府は悪質な自転車運転に反則金を科す、いわゆる「青切符」による取り締まりを可能にする道路交通法の改正案を閣議決定しました。令和8年(2026年)から制度としてスタートする予定です。
 
反則金は、比較的軽微な違反に対して警察官が青切符を発行し、違反者が反則金を納めれば刑事罰を科されない制度です。これまで赤切符で取り締まりが行われていた違反の多くが、青切符による処理に変わるとみられています。
 

自転車向けの青切符が切られるのは何歳から?

改正案では、反則金が課されるのは「16歳以上の人」が対象になります。反則金の額は原付きバイクと同等にする方針であり、反則金は5000円から1万2000円程度になる見込みです。
 
16歳未満は青切符の対象外ですが、「16歳未満なら違反をしてもいい」というわけではありません。例えば14歳未満の者は刑事未成年であり違反行為について刑罰は科せられませんが、法令違反に当たる行為が発見された場合は、児童相談所へ通告されることがあります。
 

自転車向けの青切符が切られる違反行為の一覧

自転車の交通違反で青切符の対象になる違反の一例は以下の通りです。
 

・信号無視
・通行区分違反
・指定場所一時不停止等違反
・踏切不停止等違反
・横断歩行者妨害
・緊急車妨害
・安全運転義務違反
・通行禁止違反
・急ブレーキ禁止違反
・無灯火違反
・定員外乗車違反など

 

特に悪質な運転には刑事罰がつく「赤切符」も発行される可能性がある

一方、酒気帯び運転や酒酔い運転、携帯電話やスマートフォンなどを使用しながらの「ながら運転」で危険が生じた場合や、あおり運転などの妨害運転・危険運転については、これまで通りに赤切符が発行され、刑事罰の対象になります。
 
例えば飲酒運転をすると、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されることになります。
 
普段何気なく利用している自転車は「軽車両」に分類され、自動車や原動機付自転車と同じように厳格な交通ルールがあります。この機会に正しい自転車のルールを見返して、安全に運転する意識を持つことが大切です。
 

まとめ

青切符が発行されることが決まり、今迄は反則金を取られなかった軽微な違反でも反則金を課されるようになります。反則金を支払わない場合は検察に送致され、刑事罰が科されます。
 
今のうちから自転車の通行ルールを再確認し、正しい自転車運転の知識を身につけて安全に走行することを心がけましょう。
 

出典

柏市 自転車交通事故の主な要因等のまとめ
警察庁 自転車関連交通事故の状況

警視庁 放置・駐停車に関するもの以外の反則行為
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー