少子高齢化や核家族化、物価高などさまざまな社会情勢が子どもの育ちや学びの環境を大きく変化させています。その中で児童手当は子どもと保護者を支える大切なお金として活用されています。しかし、児童手当をどのように使えばいいか悩んでいる方もいるでしょう。   今回は児童手当の使用用途について解説します。児童手当は子どもの健やかな成長に役立てましょう。

児童手当の一般的な使用用途

児童手当の使用用途に関する調査結果を紹介します。こども家庭庁が実施した児童手当の使用用途に関する調査では、表1のような回答が見られました。
表1

回答 割合(%)
子どもの将来に向けた貯蓄等 57.9
子どもの教育費等 27.5
子どもの生活費 22.0
家庭の日常生活費 14.9
家庭の貯蓄や保険料 8.6
子どものお小遣い等 6.7
大人のお小遣い等 1.1
その他 0.3
決めていない・わからない 10.7

筆者が作成
 
児童手当の使用用途はさまざまですが、子どもに使っている家庭が多いです。
 

貯蓄で進学に備える家庭が多い傾向に

厚生労働省の調査結果を見ると、多くの家庭が子どもの将来に向けた貯蓄にあてていると分かります。子どもの将来にはさまざまな可能性がありますが、大学進学費用や就職時に必要なお金などが考えられます。
 
特に児童手当が終了となる中学卒業後、高校や大学、短大や専門学校などはお金がかかる傾向にあるため、児童手当を貯金しておくと教育費の支払いに見通しが立ちやすくなるでしょう。
 

児童手当を満額貯めた場合の金額や使用用途について紹介します。児童手当は3歳未満は1万5000円、3歳以上は1万円が月額支給されます。第3子以降は優遇があったり収入によっては5000円に減額されたりするケースもあるため、家庭によって受け取れる金額は少しずつ差が出てきます(表2)。
 

年齢 月額の金額
3歳未満 一律:1万5000円
3歳以上小学校修了前まで 1万円(第三子以降は1万5000円)
中学生 一律:1万円

※所得制限限度額以上の場合は5000円
筆者が作成
 
また児童手当は生まれた月によっても支給される総額が変わりますが、今回は中学生まで満額で受け取った場合で計算します。3歳未満は1万5000円、3歳以上から中学校終了までは1万円の金額で全て貯金すると、約200万円になります。
 

進学の初年度資金に活かせる

児童手当のみで200万円貯められると、大学進学における初年度の資金に活用できます。学費だけでなく入学時に必要な入学金や一人暮らしをする際の家具や家電などの購入資金にあてられるでしょう。また大学に進学せずに高校を卒業して就職する場合は、通勤に必要な車代にあてることも可能です。
 

大学に進学しない場合はそのまま子どもに渡す方法もある

もしお子さんが高校卒業後すぐに就職して、かつ車も必要ない場合は貯めた児童手当をそのまま渡す方法もあります。ゆくゆくお子さんがまとまったお金が必要になった時や結婚をする際に活用してもらえるでしょう。
 
特に近年は働き始めてからリスキリングなどを始めとした学び直しを行う人が増加しています。お子さんも就職後にスキルを身につけたい場合には、児童手当の用意があるとお金の心配をせずスキルアップに励めます。
 

ただし、生活が困窮する場合はこの限りでない

児童手当は子どものために使う方が多く見られますが、生活が立ち行かなくなってまで児童手当を貯金する必要はないでしょう。食事や衛生面などを充実させるために使えば、子どもの役に立っているといえます。
 

児童手当は子どもがよりよく生きるために活用しよう

児童手当は学費や子どもの就職などさまざまなライフイベントに使用するだけでなく、子どもが健やかに成長するために活かす視点も欠かせません。そのため、将来に向けて貯金するだけでなく、子どもが今困っていることに対してお金を使う方法もあります。子どもがよりよく生きるために、児童手当を有効活用しましょう。
 

出典

こども家庭庁 児童手当制度のご案内
こども家庭庁 児童手当等の使途に関する意識調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー