東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で休校となっている双葉高(福島県双葉町)の卒業生が、校舎前で校歌を歌う取り組みが創立記念日の16日に始まった。学校が昨年10月に創立100年を迎え、卒業生の絆をさらに強めていこうと有志が企画。「校歌を歌う会」を立ち上げた。心一つに声を合わせ、母校の伝統を後世につなぐ誓いを新たにした。今後も定期的に開催し、校歌を歌い継いでいく。

 1970(昭和45)年3月卒業で、浪江町出身の吉田繁雄さん(72)=埼玉県に避難=が卒業生同士の交流を深め、「双高」の名を次世代に受け継ごうと考案した。原発事故により各地に避難している同級生らに声をかけ、参加を募った。

 この日は吉田さんや同窓会長の松本貞男さん(76)ら9人が集まった。「双葉高校校歌を歌う会」と書かれた手作りの横断幕を手に、横一列に並んだ。吉田さんが指揮者を務め、震災の爪痕が残る校舎の前で、高らかに校歌を歌い上げた。青春時代の日々を思い起こしながら、第一応援歌、第二応援歌も斉唱した。

 吉田さんは「夢がかなって本当に良かった。(取り組みの)良い船出になった」と感慨に浸った。来年以降も創立記念日に催す意向を示し、「参加者を少しずつ増やしながら、歌い続けていきたい」と決意した。

 双葉高は原発事故により避難を強いられ、2017(平成29)年3月に休校し、現在も続いている。