中通りと会津地方にツキノワグマ出没特別注意報が発令される中、福島県は1日、県内の商業施設7カ所でクマへの注意を促す街頭活動を行った。チラシを配布し「夏は山の食べ物が減るため、クマが餌を求めて人里近くまで行動範囲を広げる」と呼びかけた。
 注意報は喜多方市で6月24日、クマによる人身被害が発生したことを受けて発令。浜通りにも出没注意報が発令されている。期間はいずれも8月31日まで。
 福島市のJAふくしま未来直売所ここら吾妻店では、県や市の職員、福島署員らが、クマには朝、夕方に遭遇しやすいことなどが記されたチラシを来店者に手渡して注意を促した。
 注意喚起に参加した溝口俊夫県野生動物調査専門官は「昨年は山で餌が不足した。その時に下りてきて農作物を食べたクマは人里で食べ物が簡単に手に入ることを覚えている」と指摘。目撃情報がある場所には再びクマが来る可能性があり、目撃場所を確認することが重要とした。
 溝口専門官は「散歩や農作業中に被害に遭うことが多い。鈴を鳴らしたり、手をたたいたりして音を出すことが有効」と呼びかけた。その上でクマに遭遇した場合には、ゆっくり後ずさりすることや、襲われた場合には顔面の負傷が致命傷になることが多いため、地面にうずくまって頭を覆い防御姿勢を取ることを挙げた。
 県内で目撃相次ぐ
 県内で1日、クマの目撃が相次いだ。各警察署によると、クマの体長は0・5〜1・5メートル。目撃場所次の通り。(かっこ内は目撃時間、頭数)  本宮市高木字猫田の空き地(午前8時10分ごろ、1頭)▽下郷町小沼崎の国道121号(午後5時20分ごろ、3頭)▽矢吹町花咲の隈戸川沿いの竹やぶ(午後6時40分ごろ、1頭)