大阪市の職員が2000台を超える放置自転車を期限を待たずに撤去していたことが分かった。また、この職員は、警察に情報提供を求められるのを避けるため、防犯登録シールも剥がしていた。

■「7日間以上放置」確認せず自転車撤去 「防犯登録シール」剥がすことも

大阪・ミナミで去年始まった自転車の「リアルタイム撤去」。大阪ではいま、放置自転車への対策が進められている。

そんな中、大阪市は8日、次のような発表をした。「職員Aが期間の経過を待たずに、即時に撤去していたことが判明しました」。 大阪市は、市の条例に違反する自転車撤去が行われていたことについて、謝罪した。

大阪市では、駅から半径300メートルの範囲などの「自転車放置禁止区域」では、リアルタイム撤去が行われているが、そうでないエリアでは、7日間以上放置されていることを確認したうえで自転車を撤去することになっている。

しかし、十三工営所と中浜工営所で働いていた職員は、淀川区など6つの区の禁止区域ではないエリアで、7日間を待たず、自転車を即時に撤去していたことが分かった。職員は、報告書に「7日間以上放置されていることを確認した」と虚偽の記載をしていたという。

直近5年間で、職員は少なくとも2211台以上の撤去に関与。 「早く撤去してほしいという市民の要望をかなえるために7日を待たずに撤去した」と話しているということだが、職員が行ったのは撤去だけでなく、警察から盗難の確認が入ることを避けるため、「防犯登録シール」を意図的に剥がした自転車もあったというのだ。

■大阪市は過去に撤去された自転車約150万台に関する調査を行うという

街の人は、
大阪市民:厳しいんちゃう。期間があるのに守らないのはおかしいんちゃうかな。

大阪市民:期日守ってほしいですね。困るというか。

さらに、十三工営所では、この職員が自転車業務に就く前と業務から外れた後にも不適切な撤去があったため、期限を待たない撤去そのものが組織的に行われていた疑いも浮上した。

この事態を受け、横山市長は…
大阪市 横山英幸市長:市民の信頼を揺るがす非常に重大な事態だと思っています。徹底した調査と信頼回復の対応について、中で話すのではなく、外部の方の意見を取り入れながら、可能な限り早く対応の方針を出したい。

 大阪市は、事案の全体像を把握するため、過去に撤去された自転車約150万台に関する調査を行うとしている。

■職員の問題、放置自転車の問題 そもそも自転車の位置付けの問題も

撤去された自転車の所有者にとっては、大変困る話だ。

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:職員の問題はあります。それから自転車放置の問題もある。そもそも自転車の位置付けがどうなのか。乗っている人にとったら歩行者に近い感覚ですよね。車両なら車両で、例えば免許を取らせるとか。普通の車を運転していて放置しないですよね。だけど自転車は法律的位置づけが中途半端で、この辺を直さないと、こういう自転車をめぐるトラブルはしょっちゅう起きると思います。

自転車に乗る人の意識も高めていかないといけないのかもしれない。しかし、今回大阪市の職員の行動には問題があった。市は今後、調査を進めていくということだ。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年5月8日放送)