鈴木唯人は“フル代表”での初招集となった唯一の新戦力

 森保一監督率いる日本代表は5月24日、北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選で戦う6月のミャンマー戦(6日=ヤンゴン)、シリア戦(11日=広島)に向けたメンバー26人を発表。日本協会の山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)は、U-23日本代表世代のMF久保建英(レアル・ソシエダ)、MF鈴木唯人(ブレンビーIF)の2選手に関して、今夏のパリ五輪本大会メンバーへの招集はクラブからの拒否により現時点で厳しい状況を明かした。消化試合となる6月では、この2人を併用したシステムの起用を提言する。

 日本代表は3月の北朝鮮との2連戦ではホーム戦で1-0の勝利を収めたものの、アウェー戦は前代未聞の直前キャンセルとなり、3-0の不戦勝に。異例の形で試合がないなかでアジア最終予選への進出を決めた。6月の2連戦は最終予選に向けてテストできる最後の機会。そのなかで、久保と22歳の鈴木がパリ五輪世代で招集された。U-23日本代表は6月に2試合の強化試合(対アメリカ代表)を行うものの、山本NDは会見で海外クラブとの交渉を続けてきた結果、「鈴木、久保はFIFAルールでIW(国際Aマッチウィーク)以外は招集できません。そのなかで、クラブは招集できないという結論に現状なりました」と、本大会への招集が拒否されたことを明かした。

 今夏に2人が移籍した場合など可能性はゼロになったわけではないものの、U-23日本代表としてパリ五輪に出場することは厳しくなった。久保はこれまでもA代表の中心選手として支えてきたが、鈴木にとっては“パリ経由北中米行き”ではなく、W杯に向けてA代表生き残りに全力を注がなければならない。

 今回のメンバーでは鈴木が唯一の“新戦力”。消化試合の6月で試さないわけにはいかない。4-2-3-1のトップ下が主戦場となりそうで、右サイドの久保との共存も可能。2列目は3月に続いてMF伊東純也(スタッド・ランス)とMF三笘薫(ブライトン)の両翼の“槍”が不在となっており、要と呼べる選手はいない。そのため、鈴木のアピールがカギを握る。

 鈴木は国内組の代表候補合宿以来2年半ぶりで、“フル代表”では初選出。昨夏、清水エスパルスからブレンビーへ4年契約で加入し、レギュラーシーズンは16試合で5得点2アシストという成績を残し、さらに今年4月から始まったプレーオフラウンドでは9試合で4得点6アシストと驚異的なパフォーマンスを見せた。欧州での価値も急速に高まっており、今夏のステップアップも十分に考えられる。世界に向けた貴重なアピールな場にもなる。

 久保と鈴木の併用システムが森保ジャパンの新たなオプションとなれば、若手の突き上げにより競争も激化する。ミャンマー、シリアとの戦いのなかで最終予選に向けた見所の1つとなりそうだ。

FOOTBALL ZONE編集部