お金に関するアンケートを元に、50代〜70代のおサイフ事情を探る企画、今回はハルメク365ユーザーの節約事情を調査! 「節約している項目は?」「節約は何のため?」など、アンケートにより見えてきた、キリキリし過ぎず上手に節約する方法も紹介。

アンケート調査内容

調査期間:2023年9月5日〜10月9日、インターネットによる
調査回答数:女性70人(50代29人、60代36人、70代以上5人)

84%が「現在節約している」

「現在、節約していますか?」というアンケートの結果、回答者の約84%が節約していることが判明。

84%が「現在節約している」

現在、節約していますか?

・節約している   84.3%
・節約していない  15.7%

物価上昇の昨今、もはや節約は生活の一部となり、当たり前の心掛けになっている様子。そこで、日々の暮らしの中で何を節約しているのか聞いてみました。

節約しているジャンルは?(複数回答)

1位 光熱費  51.4%
2位 衣料費  37.1%
3位 食費   32.9%
4位 趣味・レジャー費 24.3%
5位 美容費 17.1%
5位 通信費 17.1%
7位 交際費 15.7%
8位 その他 17.1%

節約をしていると思うジャンルを選んでもらいました(複数回答)。今回の結果を見る限り、光熱費、衣料費、食費といった、毎日どうしてもかかってしまう身の回りで節約できる項目が上位にランクイン。

「家族でなるべく1つの部屋に集まって電気代を節約。入浴を続けて行い、ガス代も節約している(50代女性)」「電気をこまめに消しています。また、食材を無駄にしないように冷凍したり漬物にしたりしています(50代女性)」など、まずは身近なところから無駄をなくしていくのが先決のようです。

その他の節約術は下記の通り。どれも「無理せずできる範囲で」がポイントです。

「私の節約術」あれこれ

  • 【衣服】は今まで持っていた物でコーディネートできるように工夫して、増やさないようにしている。また、【光熱費】は必要最小限にとめて温水便座の電気を使わないなどこまめに節電したり、お風呂のお湯は半分くらいまで入れるなど、負担にならない程度の小さな節約を心掛けている(50代女性)
  • チラシを見比べて1円でも安いお店で購入しています。それとポイントが3倍とかの時に購入してポイントを貯めて、それで【化粧品】を買ったりしています(50代女性)
  • 【外食】はほぼ無し。夫婦の誕生日、結婚記念日のみ(60代女性)
  • 【保険料】は最低限。可処分所得を増やすことを意識しています。【映画やドラマなどを配信するサブスク】は、見なくなったらすぐ止めました(50代女性)
  • 【外食】を控えて、手作りしている。【洗濯】のすすぎを1回にしている(60代女性)
  • 買うと高いので、家庭菜園で【野菜】をまかなっています。手間がかかりますが、わずかな年金しかいただいていないので、がんばって作っています(60代女性)

節約する理由、1位は「老後のため」

続いて、節約している理由についても聞いてみました。

節約する理由、1位は「老後のため」

節約している理由は?(複数回答)

老後資金を貯めたいから 28.6%
不況・不景気だから 24.3%
収入が少ないから 22.9%
他に使いたいことにあてたいから 14.3%
病気やケガなど万が一に備えたいから 12.9%
節約が好きだから 11.4%
漠然とした不安から 8.6%


節約する一番の理由は「老後資金を貯めたいから」。続いて「不況・不景気だから」「収入が少ないから」となりました。50代になるとチラつき始める定年後の生活、頭をよぎるいつまで収入源を確保できるのかという不安……。日々の節約にも真剣味が増してくるというものです。

1か月の節約金額はだいたい「1万円まで」

そんな節約生活の結果、どのくらいの金額を1か月で節約できているのかというと、結果は以下の通り。

1か月の節約金額はだいたい「1万円まで」

毎月の節約金額は?

5000円未満 52.9%
5000円以上〜1万円未満 33.3%
1万円以上〜3万円未満 11.8%
3万円以上〜5万円未満 2.0%


約半数が5000円未満、それも含め約86%の人が1万円未満という結果に。
もし仮に50歳から毎月5000円節約、そのまま貯金したとして、年間で6万円。10年で60万円、20年で120万円貯まります。今後60歳以上でも働ける企業が増えてくる可能性を考えると、年金受給開始までに少しでも貯蓄を増やしておくことは心の余裕につながりそう。

また、節約+貯金ではその額面にしかなりませんが、それを積み立て投資などに回すのも手。その5000円を積み立て投資で運用したとすると、利率3%なら10年後に約69万円、20年後に約164万円、5%なら10年後に約77万円、20年後には約205万円と、こちらもかなりの可能性を秘めています。

まさにチリツモではありますが、今日の小さな節約が将来の自分に楽しみをくれそうです。

節約を続けたい人、90%以上!無理なくコツコツが正解

実際、今回のアンケートでも、これから先も節約を続けていきたいか?との問いに「ぜひ続けたい」と答えた人が60%を超え、「できれば続けたい」と答えた人とあわせると、実に90%以上の人が継続したいと回答。あわせてその理由も聞いてみました。

節約を続けたい人、90%以上!無理なくコツコツが正解

今後も節約を続けたい?

ぜひ続けたい 64.7%
できれば続けたい 29.4%
できれば続けたくない 2.0%
その他 4.0%

節約を続けたい理由は何?

  • 本当に必要なものか、無くても支障ないか、代用できるものはないか、など考えるのも楽しいし、シンプルな生活が好きだから(50代女性)
  • 急な出費に備えることができる(50代女性)
  • 少しでも節約して、余裕ができたら楽しいことに使いたい(60代女性)
  • 無駄が減り、地球にも優しい生活ができる(60代女性)
  • 節約することが特に苦にはならず、また工夫も特に節約と意識しているわけではないため(70代女性)

先の設問であったように、仮に月5000円の節約を長年継続&貯金や投資に回したとして、これだけで老後資金をまかなうことが難しいのは十分承知。

節約を継続したいと答えた人たちのコメントにも、「楽しみながら」「苦にならない」などの言葉が多く見て取れました。節約で得たお金はあくまで「心のゆとり資金」として考えて、今の生活を圧迫しすぎず、楽しめる範囲ですることが長くゆるく節約を続けるコツといえそうです。

プロの金言:未来予想図がある中で楽しめる節約を

5月10日に公表された全国家計調査(2024年3月分)によると、払っている金額そのものは昨年に比べて多くなっているのに対し、実際に買えたものは少なくなっていることが見て取れました。また、物の購入を控える傾向が13か月連続しており、皆さんが物価上昇に対して継続的に節約で対応していることがわかります。

今回のアンケートにある「節約の目的」を見ると、老後資金・不景気などの先行きの見えない不安から節約を行っている人が多いようです。不安は数字を見ない限りなくなることはありません。そこで皆さんに考えてほしいのが「ライフプラン」です。

プロの金言:未来予想図がある中で楽しめる節約を

ライフプランとは人生の設計図であり、お金の不安を解消できる有力な手立てです。これから先の人生で起こりうるライフイベントと、それに必要な資金について、具体的な未来図を確認することが不安の解消につながるでしょう。そののちに安心できる手段の一つとして節約を行うことで、より楽しく節約を行えるようになると思います。

節約を長く続かせるコツは「過不足なく手に入れる」こと。削減するのは無駄な部分のみに限定し、必要なものはしっかり手に入れることで生活の満足度を下げずに楽しく節約生活を送ることができます(杉浦さん)

ハルメク365では、節約しながら月5万円で年金生活を楽しむ人やスマホを使った簡単節約術、値上げに負けないお金の増やし方なども紹介! こちらも参考にしてみてくださいね。


構成・文:津村伊登子(ハルメク365編集部)

教えてくれたのは……杉浦 美結(すぎうら・みゆう)さん

教えてくれたのは……杉浦 美結(すぎうら・みゆう)さん

証券会社へ勤務後、結婚を機に退社、専業主婦に。主婦の傍らお金と家計に関するブログを発信し、1日1万PVを得る。情報発信にやりがいを感じ、2017年IFA兼FPとして活動を開始。現在年間200件ほどの面談をこなす。自分で実践して得たことをお客様にお伝えする実践型のFP。