米司法省は8日(日本時間9日)、ドジャース大谷翔平投手(29)の元通訳、水原一平被告(39)が大谷の口座から約1700万ドル(約26億4400万円)を盗んだとする銀行詐欺などの罪を認め、司法取引に応じたと発表した。連邦地検は刑の軽減を申し入れる。水原被告は14日(同15日)に罪状認否のためカリフォルニア州の連邦地裁に出廷する。

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 連邦検事による司法取引成立を伝える文書に、水原被告の巨額窃盗の手口が克明に記されていた。

 水原被告は18年3月にアリゾナ州フェニックスのA銀行に同行し、被害者A(=大谷)の給与振り込み用の銀行口座開設を支援。ウェブサイトのログイン情報のやりとりでも通訳をしていた。後日、口座開設時に決めたパスワードを思い出し、ウェブサイトから口座にサインインすることに成功。行員が口座からの電信送金を確認する際、大谷でなく自分につながるよう、登録メールアドレスと電話番号を変更した。

 送金が拒否されたこともあったが、電話をかけて大谷の名をかたり、ブックメーカーの同僚に自動車ローンのために資金を振り込もうとしていると偽った。本人確認のため登録電話番号へ6桁のコードを送信されても、変更済みだったため同容疑者に届いた。その後約40回にわたり約1700万ドル近くが不正送金された。

 今年1月には転売目的で元ヤンキースの名捕手ヨギ・ベラ、大谷らのベースボールカードを通販サイトのeBay(イーベイ)などで32万5000ドル(約5053万円)相当を購入。大谷の代理人、財務担当から口座へのアクセスを求められたが「(大谷が)プライベートな口座なのでアクセスされるのを望んでいない」と虚偽の説明をしてけむに巻いた。