札幌六大学野球(札幌学生野球連盟)春季リーグ戦が29日、札幌円山球場で開幕する。昨秋のリーグ戦で2013年春以来10年ぶりに3位に入った北大は、初戦で札幌大と対戦。毎週末、自宅がある函館から札幌に通う宮坂啓徳(ひろのり)内野手(4年=札幌第一)が、勝負強い打撃で打線を引っ張る。

 ■3浪して入学 

 北大・宮坂が今年も大移動を繰り返してリーグ戦を戦う。昨秋は13年春以来の“Aクラス”入りを果たし、今春も上位進出に期待がかかる中「チームが勝てば何でもいい。最上級生なので、降格だけはしないように頑張りたい」と謙虚に目標を語った。

 巨人・大勢投手や日本ハム・清宮幸太郎内野手と同世代の24歳。高校3年夏はメンバー外で、卒業後は3浪の末に北大に入学した。高校で野球に区切りをつけていたが「現役で入学してたらやっていない」と、浪人中に野球への熱が再燃し入部を決意した。最初の1年で体づくりに励み、2年春にレギュラーの座をつかんだ。

 水産学部の学生は3年時から函館のキャンパスに移るため、夏休みを除くシーズン中は毎週金曜夜に車で函館を出発し、週末は札幌の実家に宿泊。野球部の活動が終わると、日曜夜に函館へ戻る。交通費節約のために高速道路は使わない。そのため、往復約500キロで合計約9時間もかかるという。

 昨年も主力だったが、約6か月で約1万2000キロを移動しながら春秋のリーグ戦に出場した。「入部した時は(札幌にいる)2年くらいやればいいかなと思ってたけど、気付いたら通うのが当然になってた。試合にも出させてもらってたので、続けないわけにはいかなかったですね」と振り返る。

  ■勝負強さ発揮

  函館にはボールを使って練習できる施設がなく、練習相手もいない。平日は素振りをしたり、筋トレをしながら試合に備える日々を送っている。その状況下でも昨秋はチーム2位の7打点をマークした。「今年も持ち味の勝負強さを発揮できれば。こんなに高いレベルでできることを楽しみながらプレーしたい」。初戦は3連休最終日の29日。試合前日に移動するのが恒例だが、初戦だけは3日前の金曜日に札幌入りし、万全の状態でバットを握る。

(島山 知房)

 ◆宮坂 啓徳(みやさか・ひろのり)1999年4月22日、札幌市生まれ。24歳。札幌幌北小4年時に北光ジュニアイーグルスで野球を始める。北辰中では軟式野球部でプレー。札幌第一高では優勝した2年秋の全道大会でベンチ入りした。北大では2年春にリーグ戦初出場。167センチ、69キロ。右投右打。家族は両親と妹、弟。