清水エスパルスで活躍した山本真希さん(36)が、今季から清水ユースコーチに就任し、U―18プリンスリーグ東海などを戦うチームで指導にあたっている。

 2020年限りで現役引退してから3年間、最後にプレーしたJ3松本で下部組織の指導者などを務めていた。「いつかここでやりたいと思っていた」と地元クラブの誘いで復帰を決めた。沢登正朗監督(54)の下、後輩にあたる高校生と向き合う日々。「一番は思い切り全力を出すこと。悔いが残らないようにプレーしてほしい」と常に100%を求めている。

 島田市出身でジュニアユースからオレンジの道を歩み、ユース在籍中の05年4月、当時のクラブ最年少となる17歳7か月23日でJデビューした。ボランチとして存在感を示し、11年まで所属。以後は川崎や千葉などでプレーし、J通算235試合に出場した。「中学、高校時代があったからプロで長くやれた。経験を今の子たちに伝えられたら」と、新任コーチとしての役割をイメージした。

 現ユースには自身と同じく高校生ながらトップで出場経験があるMF西原、小竹、矢田ら逸材がそろう。「いいポテンシャルを持っているが、勘違いさせてはいけない。トップに行っているからこそ厳しさが必要。要求していくことが彼らのため」と、甘やかさず足りない部分を指摘していく。

 クラブは「育成型」の方針を掲げており、トップでは新主将のFW北川らユース出身者がけん引する存在になりつつある。「下からどんどん上がってほしい。サポートしながら育てていきたい」。下部組織から“第2の自分”を一人でも多く輩出する。(武藤 瑞基)