◆米大リーグ ブルージェイズ―ドジャース(27日・カナダ・オンタリオ州トロント=ロジャースセンター)

 ドジャース・大谷翔平投手(29)が27日(日本時間28日)、敵地ブルージェイズ戦に「2番・DH」で先発出場し、花巻東の3学年先輩・菊池雄星投手(32)と今季初対戦。2点リードで迎えた2回2死一、三塁の第2打席で右前適時打を放った。“予告通り”の単打だったが、打球速度119・2マイル(約191・8キロ)は自己最速の一打となった。

 これまでの自己最速はエンゼルス時代の22年4月10日(同11日)のアストロズ戦で3回に二塁打を放った際の119・1マイル(約191・7キロ)だったが、わずかに上回った。119・2マイルは今季の開幕戦、ダルビッシュ有投手(37)と日米通じて初対戦だった3月20日のパドレス戦(韓国・ソウル)の3回の第2打席でファウルを打った時にも計測したが、この日はしっかりフェアグラウンドに飛ばした。今季のメジャー全体でも最速の一打となった。

 ブーイングで迎えられた初回無死三塁の第1打席は5球目の97・3マイル(約156・6キロ)直球で二ゴロに倒れた。3球目のファウルは97・9マイル(約157・6キロ)。菊池は今季最速を計測するなど、後輩に対してアクセル全開だった。2人の対戦成績はこの日まで通算20打数6安打の打率3割、3本塁打。大谷は「僕ら(同士)ももちろん大事ですけど、学校で教えてもらった先生方だったり、そういう方の方が楽しみというか、そういう感じじゃないかなと思います」と“花巻東対決”に向け、静かに闘志を燃やしていた。

 前日26日(同27日)は大谷にとってド軍移籍後初めてのブルージェイズ戦。昨オフFAとなった際に移籍先の最終候補だった球団の一つで、当時は大谷がトロント行きの飛行機に搭乗したという誤情報まで飛び交ったこともあった。そんな経緯から大谷史上最大級のブーイングで迎えられたが、初回に7号先制ソロ。ひと振りで敵地を黙らせた。

 試合後は「ブーイングも嫌ではないというか、野球の一環ですし、ファンの方たちがそれで楽しいのが一番だと思う。気にしてもらえるだけ、選手にはいいことなんじゃないかなと。僕がブルージェイズのファンなら普通にブーイングすると思いますし(笑い)」と平然と振り返った大谷。この日もスタメン発表時からブーイングを浴びたが、その状況を楽しんでいたことだろう。

 ここまで28試合で打率3割5分4厘、7本塁打、17打点。試合前の時点で二塁打、塁打、長打数、長打率でリーグ4冠と打撃好調をキープしている。この日の試合前にはブ軍のシュナイダー監督と談笑。敵軍指揮官は「『ブーイングは申し訳なかった』と言って2人で笑ったよ」と話し「(ドジャース一塁コーチの)クレイトン・マッカローが言うには、(大谷は)今日はホームランではなく単打を打つそうだよ」といったやり取りがあったことを明かしていた。本当に単打だったが、ただの単打ではなかった。