◆NHKマイルC追い切り(1日・栗東トレセン)

 第29回NHKマイルC(5日、東京・芝1600メートル)の追い切りが1日、東西トレセンで行われた。皐月賞3着の2歳王者、ジャンタルマンタルは陣営の自信を大阪本紙予想担当・山下優記者が「見た」。

 ジャンタルマンタルのポイントはただ一つ、皐月賞の激闘から中2週というローテーションに尽きる。疲れや反動がないかを見極めるべく、栗東・坂路での追い切りに目を凝らした。

 高野厩舎流の調整で坂路の2本乗り。2本目で56秒7―12秒3をマークした。間隔が詰まっているだけに馬なりで控えめだが、最後の1ハロンの伸び脚はさすがの迫力を感じた。馬も走りたい気持ちを出し、加速ラップの構成も理想的なものだった。

 見守った高野調教師は「追い切りというよりは、整えるということを主眼におきました」と内容を説明した。確かに、最終追いの動きには心配はない。ただ、前走後の初時計は皐月賞から14日後の先月28日とやや遅く、その点も気にかかる。そう思っていたところ、続く言葉にハッとした。

 「皐月賞でしっかり走ったという“いい負荷”を上手に生かそうという感覚で、時計は求めていません」

 確かに、皐月賞は前半からタフな流れでコースレコードの決着。3着だったが、好位から一度は先頭に立ち、正攻法で突き抜けようとした堂々とした走りをみせた。記者からすれば、直前に軽めだとどうしても不安を覚えるが、あれだけレベルの高い皐月賞で強い競馬をした2歳王者。維持さえできていれば十分勝負になる。そういう思いが伝わってきた。

 それは鞍上の川田も同じ。「(最も力を発揮できるのは)僕は常々1600メートルだと言ってきました。強い馬はたくさん出てきますが、そのなかでジャンタルが一番強いことをお見せできればと思います」と自信を隠さなかった。東京マイルが最適の舞台であることは明白で、評価を下げることはできない。(山下 優)