◆JERA セ・リーグ 中日1―4巨人(8日・バンテリンドーム)

 やっとの思いで第一歩を刻んだ。4―0の9回1死。代打で登場した泉口は、2ボール1ストライクから土生の外角高め直球を逆らわずに左前へはじき返した。打球がヒットゾーンで弾む。プロ11戦15打席目にして待望の初安打だ。「良かったです。ホッとしたって感じですかね」。試合後、安どの笑みを浮かべた。

 新人にして開幕1軍をつかんだが、14打席無安打で4月19日に出場選手登録抹消。惜しい当たりもあったが、「H」ランプがつかず、阿部監督から「プロ野球でヒット1本打つのって難しいだろ」との言葉も受けていた。前日7日に再昇格。「悪い当たりでもヒットになったりしますし、あまり深く考えずに1本出すことだけを考えてやりました」と昇格後初打席で快音を奏でると、直後には二盗成功でプロ初盗塁もマークした。

 出身は和歌山・御坊市。3学年下の今秋ドラフト1位候補の西川史礁(みしょう)外野手(21)=青学大=とは実家が車で5分の幼なじみでもある。和歌山日高ボーイズ、大学は同門。開幕前には後輩から「見に行きたいです」とLINEが届き、開幕戦と4月中旬に東京Dに招待した。雄姿を届けたい相手の一人。招待時に安打こそ見せられなかったが「プロの舞台で一緒にプレーできればいいですね」と一足先につかんだ夢舞台で一歩目を踏み出した。

 大阪桐蔭、青学大、NTT西日本と名門を渡り歩いて来たドラ4。「また打てるように頑張ります」と表情を引き締め直した。記念すべき一打を躍進へのきっかけにしていく。(田中 哲)

 ◆泉口 友汰(いずぐち・ゆうた)1999年5月17日、和歌山・御坊市生まれ。24歳。河南中時代は和歌山日高ボーイズでプレー。大阪桐蔭では3年春夏に甲子園に出場し、3年春に全国制覇。青学大では4年秋にベストナイン。NTT西日本から昨年ドラフト4位で巨人入団。178センチ、81キロ。右投左打。背番号35。