日本自転車競技連盟と東レ・カーボンマジック株式会社は12日、ジャパンカップ最終日が行われた静岡・ベロドロームで今夏のパリ五輪で使用される予定の新しいモデル「TCM2(通称V―IZU)」を発表した。

 レーシングカー製造などを行う東レは、22年4月より自転車業界に参入した。東京五輪で採用されたブリヂストンサイクルのコンセプトを継承し、約半年後にTCM1を開発。日本代表のテクニカルディレクター、ブノワ・べトゥ氏の要求に応えながら、長年のレーシングカー製造の経験を生かし、異例の左側にギアを置く構造にするなど空力性能の向上を主題に開発を進めた。前モデルから人が乗った時の空力を比べると約7%も抑えることに成功した。

 選手は数か月前からテストしており、同連盟の選手強化スーパーバイザーを務める中野浩一氏は「選手も『スピードに乗ったら落ちづらい。軽く感じるし、思った以上にスピードが出る』と言っている。つまり(五輪など)レベルの高い大会でそれだけ期待できると思います」と好感触を語った。

 「V―IZU」はビクトリーとベロドロームをかけたV、日本代表が拠点を置く伊豆市からIZUと名付けられた。後輪には日の丸が施され、日本代表の活躍を後押しする。また、V―IZUの価格は1985万円(税抜き)。前モデルのTCM1でも、1730万円(同)に設定された。パリ五輪まで残り約3か月。「ポジションを整えられたら使いたい。ほとんどの選手で」とベトゥ氏は見据えた。新兵器が日本自転車界初の五輪金メダルを支える。