◆全日本大学駅伝関東推薦校選考会(23日、相模原ギオンスタジアム)

 1万メートルのレースを各校2選手ずつ4組のレースを行い、全8選手の合計タイムの上位7校が本戦出場権を獲得した。トップ通過は東海大。2位に東洋大、3位に早大、4位に日体大が続いた。立大は5位で通過し、初出場を果たした。

 6位は帝京大。ぎりぎりの7位は神奈川大。次点の8位の明大は神奈川大と15秒64差で敗れた。

 立大は第1組で6位と手堅くスタート。第2組でも6位をキープ。第3組では林虎大朗(4年)が個人2位、国安広人(3年)が個人3位とそろって好走し、3位に浮上した。林は「2、3位に入れるとは思っていませんでした」と声を弾ませて話した。

 留学生ら好選手がそろう最終の第4組でも馬場 賢人(3年)が20位、稲塚大祐(4年)が26位と踏ん張り、初の伊勢路切符を勝ち取った。

 立大は2018年11月に、2024年の創立150周年記念事業として「立教箱根駅伝2024」をたち上げ、男子駅伝チームの強化を開始。中大やエスビー食品などで活躍した上野裕一郎前監督(38)=現ひらまつ病院=を招へいした。それまで予選会では30位前後を推移していたが「日本一速い監督」の異名を持つ上野前監督は選手と時には一緒に走るという独自の指導スタイルでチームを強化し、年々、成績は向上。昨年1月の第99回箱根駅伝で大会史上最長ブランクの55年ぶりの復活出場を果たした。しかし、その立役者だった上野前監督は不適切な行動を取ったとして昨年10月の第100回箱根駅伝予選会の直前に解任された。今年の第100回箱根駅伝では原田昭夫総監督(68)が代理監督を務め、学生主体で臨んだ。難しい状況でも、第99回大会の18位を超える14位と健闘した。

 後任として、駒大コーチを務めていた高林祐介監督(36)が4月1日に就任。駒大時代に箱根駅伝などで活躍した高林監督は卒業後はトヨタ自動車に入社し、2011年の全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)では初優勝メンバーに名を連ねた。2016年に現役を引退し、2022年に母校の駒大コーチに就任。大八木弘明総監督(65)と藤田敦史監督(47)をサポートし、この2年間で学生3大駅伝6戦5勝に貢献した。コーチ業と並行し、早大大学院スポーツ科学研究科で、最新のスポーツ科学を学び、今春、修了した。

 チームを指導し、1か月が過ぎた時、高林監督は確かな手応えを感じた。「就任した当初から学生は『僕たちは主体性のあるチームです』と言っていました。実際、彼らは約半年間も指導者がいない中、学生主体でしっかりとチームを運営してきた。主体性は秀でています。彼らのいいところを伸ばしたい」と指揮官は話す。

 安藤圭佑主将(4年)も「昨年からチームは大きく変わりました。練習メニューも変わりました。その中で、高林監督は学生の意見を聞いてくれます。今、チームは着々と力をつけています」と充実した表情で話した。

 今季のチーム目標として、箱根駅伝でシード権獲得に加え、全日本大学駅伝(11月)の初出場を掲げている。まず、ひとつ目の目標を達成。新たな立大の新たな挑戦は、力強く続く。

 例年、6月下旬に行われる選考会は高温多湿のタフなコンディションとなることも多いが、この日は、まずまずの気象条件。午後5時現在で気温23度と比較的、涼しい。ただ、湿度は約80%と高めで予断は許さない状況に変わりなく、法大は第3組の選手が途中棄権し、伊勢路への道が途絶えた。速さより強さが求められる一戦は、今季の大学駅伝を占う注目のレースとなった。

 昨年の全日本大学駅伝で優勝した駒大をはじめ、2位の青学大、3位の国学院大、4位の中大、5位の城西大、6位の創価大、7位の大東大、8位の東京国際大の上位8校はシード校。関東からは計15校が出場する。北海道1校、東北1校、北信越1校、東海1校(皇学館大)、関西4校、中国四国1校、九州1校(鹿児島大が出場決定)の計25校と、オープン参加の日本学連選抜チーム(東海を除く全国7地区学連からの選抜)と東海学連選抜チームを含めた計27チームが本戦に臨む。

 最終結果は以下の通り。

 <1>東海大

 <2>東洋大

 <3>早大

 <4>日体大

 <5>立大

 <6>帝京大

 <7>神奈川大

 15秒64差

 <8>明大

 <9>日大

<10>山梨学院大

<11>中央学院大

<12>駿河台大

<13>麗沢大

<14>東農大

<15>国士舘大

<16>専大

<17>順大

<18>流通経大

<19>亜大

<途中棄権>法大

 ◆立大 1920年に陸上競技部創部。箱根駅伝には1934年に初出場し、1957年に最高の3位になった。1968年を最後に箱根路から遠ざかっていたが、2023年に大会史上最長ブランクとなる55年ぶりの復活出場を果たした。出雲駅伝、全日本大学はともに出場経験なし。タスキの色は江戸紫。陸上競技部OBは1936年ベルリン五輪男子800メートル代表の青地球磨男氏、2016年リオ五輪と2021年東京五輪女子競歩代表の岡田久美子ら。

 ◆高林 祐介(たかばやし・ゆうすけ)1987年7月19日、三重・小俣町(現伊勢市)生まれ。36歳。上野工高(現・伊賀白鳳高)3年時に全国高校総体1500メートル優勝。2006年に駒大入学。学生3大駅伝で区間賞7回。箱根駅伝では1年7区7位、2年3区7位、3年8区区間賞、4年9区区間賞、2年時には優勝メンバーとなった。10年に卒業し、トヨタ自動車入社。ルーキーイヤーの11年全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)では3区区間賞を獲得し、初優勝に貢献した。16年に引退し、22年に駒大コーチ就任。24年に早大大学院スポーツ科学研究科を修了。現役時代の自己ベスト記録は5000メートル13分38秒73、1万メートル27分56秒46、ハーフマラソン1時間1分31秒、マラソン2時間18分31秒。