人とともに暮らしてきた犬と猫

歌川国芳《山海愛度図会 七 ヲゝいたい 越中滑川大蛸》1852(嘉永5)年 大判錦絵  個人蔵 [前期展示 5/12-6/9]

人々は昔から、様々な動物と親しんできました。中でも犬と猫は、最も人に親しまれている動物であり、どの時代も人々とともに暮らしてきたと言えるのではないでしょうか。
それはアートの分野にも表れており、「ゆるかわ」としてブームとなった長沢芦雪の犬や、「動物の匂いまで描く」と言われるほど動物の表現に優れた竹内栖鳳の猫など、様々な画家が魅力的な犬と猫を描いてきました。

本展では、江戸時代の俵屋宗達、伊藤若冲、円山応挙、長沢芦雪、歌川国芳、明治以降の竹内栖鳳、川端龍子、藤田嗣治、速水御舟、現在活躍中の山口晃など、多彩な画家たちの犬と猫を題材とした作品が一堂に会します。

犬と猫を描いた名作が大集合!初公開の作品も

《洋犬・遊女図屛風》17世紀(江戸時代) 紙本・彩色 個人蔵

展覧会名からも伝わるように、動物好きにはたまらない展示内容となっている本展。犬が描かれる作品には、本展にて初公開となる《洋犬・遊女図屛風》(個人蔵)が展示されます。こちらは当時の日本では珍しかった洋犬が描かれている貴重な作品です。

俵屋宗達《犬図》17世紀(江戸時代) 紙本・墨画 個人蔵

絵画や工芸品の流派である琳派の祖・俵屋宗達の《犬図》(個人蔵)では、黒ぶち模様が愛らしい子犬がこちらを振り返っている様子が水墨によって表されています。

伊藤若冲《狗子図》18世紀(江戸時代) 紙本・墨画 個人蔵

そのほか、白と黒の子犬2匹の対比が目を引く伊藤若冲 の《狗子図》(個人蔵)や、ころころとじゃれあう子犬が描かれた長沢芦雪の《菊花子犬図》(個人蔵)の展示も。

川端龍子《立秋》1932(昭和7)年 絹本・彩色 大田区立龍子記念館

自身の愛犬ムクとモルをモデルに、《立秋》と《秋縁》(大田区立龍子記念館)を制作した川端龍子は、愛犬家として知られています。

一方猫が描かれた作品には、近代京都画壇を牽引した竹内栖鳳による《班猫》【重要文化財】(山種美術館)が展示されます。

竹内栖鳳《班猫》【重要文化財】1924(大正13)年 絹本・彩色 山種美術館

この作品は名作として知られ、描かれている猫は竹内栖鳳が静岡の沼津で偶然出会った猫です。

山口晃《捕鶴圖》2014(平成26)年 紙本・墨画 山種美術館 「撮影:宮島径 ©︎YAMAGUCHI Akira, Courtesy of Mizuma Art Gallery」

さらに、女性と4匹の猫を描いた、藤田嗣治による《Y夫人の肖像》(株式会社三井住友銀行)や、擬人化された個性的な猫の姿を描いた現代作家・山口晃の《捕鶴圖》(山種美術館)が展示されます。

あの人気作品が撮影チャンス!

長沢芦雪《菊花子犬図》18世紀(江戸時代) 絹本・彩色 個人蔵

注目したいのは、まるでアイドルのような人気で大好評のゆるかわ犬・長沢芦雪の《菊花子犬図》(個人蔵)と、竹内栖鳳によるレジェンド猫《班猫》【重要文化財】(山種美術館)
。なんと今回特別にご自身のスマホで撮影OKとのことです!なかなかない機会なので、展覧会のお土産として写真を撮ってみるのもいいかもしれません。

特別展示の花鳥画も

こちらもまた本展にて初公開となる菱田春草による《柏ニ小鳥》(個人蔵)をはじめとして、横山大観の《木兎》(山種美術館)や上村松篁の《白孔雀》(山種美術館)など、花鳥画の名品も展示されます。

展覧会情報

神坂雪佳『百々世草』巻2より「狗児」 1909(明治42)年 多色摺木版 芸艸堂

■展覧会名:【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―
■会 期:2024年5月12日(日)〜7月7日(日)※会期中、一部展示替えあり(前期: 5/12-6/9、後期:6/11-7/7)
■休館日:月曜日
■開館時間:午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
■入館料:一般1400円(1200円)、大学生・高校生1100(1000)円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要です)
障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は一般1200円(1000円)※()内は前売料金
【きもの特典】 きものでご来館のお客様は、一般200円引きの料金となります。 ※複数の割引・特典の併用はできません。
■会 場:山種美術館 (〒150-0012東京都渋谷区広尾3-12-36)
■公式HP:公式HP URL
■問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)