「復活蔵」で醸す友情の酒―。盛岡市北飯岡の赤武酒造(古舘秀峰社長)は、能登半島地震で被災し、生産が一部しか再開できていない石川県能登町の数馬酒造(数馬嘉一郎代表)の日本酒を受託醸造する。東日本大震災の津波で大槌町の酒蔵を失い、盛岡で再建した赤武酒造。「大変な時こそ支え合わないと」と、似たような境遇にある仲間に手を差し伸べた。

 コメの香りが広がる酒蔵で7日、数馬代表(37)と寺口瑠美子さん(40)=奥州市衣川出身=が仕込みに臨んだ。コメを蒸したり、こうじを作ったり。場所は違えど、慣れ親しんだ感触に表情が緩んだ。

 醸造する日本酒は「竹葉 能登を醸す 純米酒 in赤武酒造」。竹葉は1869(明治2)年に創業した数馬酒造の主力銘柄で、コメは能登産ゆめみづほを使用。1500キロ分仕込み、4千本を販売する予定だ。

 数馬代表は「同じ境遇ならではの言葉を頂き、未来の一つの指針にしたい。能登の現状を伝える一本になってほしい」と願う。6月中旬発売予定。岩手県内酒販店のほか、数馬酒造のホームページで扱う。