2日早朝の外国為替市場で円相場は、1ドル=157円台半ばから一時153円台まで4円以上も急騰した。日銀統計に基づく市場関係者の推計によると、政府・日銀が3兆円規模で4月29日に続く円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った可能性がある。政府は実施したかどうか明らかにしておらず、前回と同様の「覆面」介入とみられる。投機的な円売り圧力に対し、断続的な対応を強いられている格好だ。午後5時現在は155円49〜50銭と前日比2円38銭の円高・ドル安。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は1日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催した。FOMCの結果公表前の円相場は157円台で推移。パウエルFRB議長の記者会見終了後、日本時間2日午前5時すぎから大規模な円買いが断続的に入り、円は一時153円ちょうど付近まで上昇した。

 パウエル議長が会見で利上げの可能性に否定的だったことなどを受け、市場関係者の多くは「警戒していたほど利下げに慎重な『タカ派』ではなかった」(FX会社)と受け止めた。円売りの勢いがいったん弱まった機会を捉えて政府・日銀が介入に入ったとみられている。

 ただ、米国経済の力強さを背景に米長期金利は高止まりしており、日米金利差は当面縮小しないとの見方が強い。2日の東京外為市場で、円は再び156円台前半に下げる場面もあり、「政府・日銀と投機筋との攻防は続く」(外為仲介業者)との声が出ていた。

 財務省の神田真人財務官は2日、出張先のジョージア・トビリシで記者団の取材に応じ、介入の有無について「ノーコメント」と説明。ただ、「過度な変動が大きな影響を日本経済に及ぼすことは看過できないときがある」と強調した。

 日銀が2日発表した「当座預金残高の増減要因」は、金融機関が日銀に預け入れている資金の動きを示す。そのうち、2日早朝に介入した場合の資金の動きが反映される「財政等要因(7日予想)」は、4兆3600億円のマイナスだった。介入を考慮しない市場の事前予想は7000億円程度のマイナス。マイナス幅が膨らんだ分の約3兆円規模で円買い介入が実施された可能性が高い。