厚生労働省は5月15日の社会保障審議会医療保険部会に、マイナ保険証の利用実績などを報告した。それによると、2024年4月のオンライン資格確認におけるマイナ保険証の利用率は過去最高の6.56%となったが、施設間の格差が大きいことも明らかになった。

 24年4月のオンライン資格確認の利用件数は1億8438万6109件。このうちマイナ保険証が利用されたのは1210万2711件で、マイナ保険証の利用率は6.56%となった(歯科診療所および薬局を含む)。施設類型別のマイナ保険証利用率は、病院13.73%、医科診療所5.87%、歯科診療所10.91%、薬局5.71%で、前月と比べると特に病院、薬局の伸びが大きかった。

 マイナ保険証の利用率が3%未満の施設の割合は、歯科診療所と薬局を含む全体で36.3%となった。施設類型別のうち病院は17.0%、医科診療所は34.4%を占めた。ただ、いずれの施設類型においても、利用率が6割を超える施設も存在し、施設間のばらつきが目立つ。

 マイナ保険証に誤って別人の情報が紐付けされた問題への対応状況も説明。全ての登録済みデータと住民基本台帳情報との突合や保険者等による確認といった一連の点検作業が4月までに完了し、5月7日からは新規加入者の登録時に全てのデータを住民基本台帳情報と突合するシステムの運用が始まったことを明らかにした。

■妊産婦の支援で検討会を新設、正常分娩の保険適用なども議論

 同日の部会には、「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」の新設も報告された。

 政府が昨年末に閣議決定した「こども未来戦略」は、「26年度を目途に、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等のさらなる強化について検討を進める」との方針を打ち出している。これを踏まえ検討会は、①正常分娩への保険適用を含む、医療保険制度における支援のあり方、②周産期医療提供体制のあり方、③妊娠期・産前産後に関する支援策等のさらなる強化―などの課題を議論。必要に応じて学識経験者や実務経験者からのヒアリングも行う方針。

 幅広い視点での議論が求められるため、事務局は、厚労省の医政局地域医療計画課と保険局保険課、こども家庭庁の成育局母子保健課が連携して担うこととしている。