2024年度前期放送のNHK「連続テレビ小説」は、『虎に翼』。日本で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性・三淵嘉子さんの半生を基にしたオリジナル作品です。

 『連続テレビ小説 虎に翼 Part1 (1) (NHKドラマ・ガイド) 』NHK出版主人公の猪爪寅子を演じるのは、子役時代から演技力に定評があった俳優・伊藤沙莉。さらに脇を固めるは、主人公の両親役に石田ゆり子と岡部たかし。主人公の家に下宿する書生に仲野太賀。大学の同期女子学生には土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙。本科の男子学生に戸塚純貴、岩田剛典など、ベテランから気鋭の若手まで実力派が勢揃いしたキャスティングとなっています。

本格的なリーガルドラマである一方、現代にも通ずるジェンダーギャップを描いたドラマとしても評判高く視聴率も好調。困難な時代の中、新しい道を切り開こうとする主人公たちの姿から目が離せません。

そこで、今回は30代〜50代の女性たちに「朝ドラ『虎に翼』好きなキャラクターアンケート」(※)を実施。どのキャラに人気が集まったのかをを調査しました。まずは、13〜4位まで一気に紹介!

13位には涼子、花岡、そして直道兄さん

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Q.『虎に翼』で好きなキャラクターは?(複数回答)

同率13位 猪爪 直道(寅子の兄) 4.5%

同率13位 桜川 涼子(女子部同級生) 4.5%

同率13位 花岡 悟(本科同級生) 4.5%

12位 猪爪 直言(寅子の父)5%

11位 穂高 重親(法学者、教授)5.5%

同率7位 猪爪 花江(寅子の親友)6.5%

同率7位 大庭 梅子(女子部同級生)6.5%

同率7位 轟 太一(本科同級生)6.5%

同率7位 中山 千春(女子部先輩)6.5%

6位 玉(涼子のお付き)7%

同率4位 佐田 優三(猪爪家に下宿)7.5%

同率4位 増野(カフェー燈台のオーナー)7.5%

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同率13位にランクインした花岡悟は、朝ドラ初登場となる岩田剛典が演じる寅子の大学の同級生男子。爽やかで紳士的なイケメンかと思いきや、女をどこか小馬鹿にした態度を示してきます。後に女性陣とも和解をし、良き理解者になっていきますが、嫌みな奴という第一印象のイメージが強すぎてのこの順位でしょうか。

7位には花江、梅子、轟、中山先輩

同率7位の大庭梅子は、平岩紙が演じる寅子の同級生。弁護士の夫と3人の子を持つ良妻賢母でしたが、夫に愛人がいたり姑からのいびりに我慢し続けたりと、まさに昭和における女性の立場を象徴するかのようなキャラです。その重い背景だけではなく、健気な明るい性格も含めて応援したくなりますね。

同じく7位には、花岡と同様に寅子の大学の同級生である轟太一。戸塚純貴演じる、男らしさに誰よりもこだわる真っすぐな男。しかし花岡の女性を見下す態度に怒り心頭するなどの好人物ぶりを見せ、X(旧Twitter)上でも「#俺たちの轟」というハッシュタグが盛り上がりを見せるなどみるみるうちに人気者に。ちょうどアンケートのタイミングが轟が活躍中だったこともあり、花岡を引き離してのランクインとなりました。



予想以上に票数が伸びたのが、仲野太賀演じる書生の佐田優三と同率で4位となったカフェー燈台のオーナー・増野。昨年のドラマ『VIVANT』(TBS系)の出演で一気に知名度を上げた平山祐介が演じており、丸眼鏡の色付きサングラスにリーゼントというひじょうに怪しげな風貌の男です。胡散臭い見た目とは裏腹に、苦学生である山田よねを支える優しさを持つというギャップが堪らないと、X上でも大絶賛。隠れた人気サブキャラNO.1といっても過言ではないと思います。



3位 山田 よね 8.5%

3位にランクインしたのは。寅子の同級生である山田よね。土居志央梨が演じており、カフェー燈台に住み込みのボーイとして男装姿で働いています。貧しくハードな生い立ちゆえに、女性の社会進出に並々ならぬ想いを持つ彼女が、少しずつ寅子と心を通わせていく様が実に響きました。そして当時としては恐らく圧倒的少数派だったであろう、男装という名の彼女なりの武装……正直、これがあまりにハマりすぎていてグウの音も出ない! 真面目で不器用な性格も込みのインパクト大なキャラ設定に人気が集まったのではないでしょうか。



2位 猪爪 はる 12%

2位は石田ゆり子が演じる、寅子の母・猪爪 はる! 猪爪家の家計も家事もパーフェクトにこなす、しっかり者のお母さん。法曹界へと進みたい寅子に対し、娘の幸せを願うからこそ進学の壁に立ちはだかる役どころでした。とはいえはるは、一般的な男尊女卑的な世界観の女性ではなく、猪爪家では男性陣より遥かに強いラスボス的存在。強く正しく厳しく、そして優しい理想的な”母”は、どんなに時代を経ても共感と憧れを抱かれるものなのですね。





1位 猪爪 寅子 25%

そしてやはり1位は主人公である猪爪寅子でした! 後に日本法曹界初の女性弁護士となる寅子ですが、思ったことをすぐに口にしてしまう、のほほんとした性格の持ち主。ガチガチに真面目な才媛ではなく、周囲から愛される才能と夢への情熱を秘めた女性という点が、現代の働く女性たちから高い好感度を得たのではないでしょうか。口癖である「はて?」もカワイイと話題になっており、早くも流行語大賞にノミネートの予感も……。



涼子の付き人“玉”、人気の理由は

今回のランキングで個人的に注目だったのは、6位にランクインした玉です。主人である家族令嬢・桜川涼子が同率13位だったにも関わらず、御付きの玉が6位とは……。大学に通っていたわけではない玉ですが、勉強中の寅子や涼子たちの傍らで、辞書を片手に洋書を読んでいたり、周囲に厳しいよねからも「玉」と呼び捨てされたり、学友のような立ち位置になっていることには思わずほっこり。最終的には涼子が家を継ぐことになり、玉も寅子たちの前から去ることになりますが、その時に発した梅子の言葉からも、みんなが玉を仲間として愛していたことが伝わってきました。ちなみに、玉を演じた羽瀬川なぎもとても魅力的な女優さんでしたね。



そして14位以下のキャラクターで大健闘だったのは、同率16位に入った笹山です。朝ドラ常連の田中要次が演じる傍聴マニアの寿司職人ですが、寅子のことを応援しており裁判所でよく顔を合わせています。寅子の父に無罪判決が出た際には猪爪家に特上寿司を差し入れをし、ようやく寿司職人らしい姿を見せてくれました。今後も作品内きってのほっこりキャラとしての活躍を期待したいところです。



16位以下の結果はこちら

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同率16位 笹山(傍聴マニアの寿司職人) 4%

同率16位 米谷信子(花江の母) 4%

同率18位 崔 香淑(女子部同級生) 3.50%

同率18位 岸田(桜川家の執事) 3.50%

同率18位 大庭光三郎(梅子の三男) 3.50%

同率18位 大庭徹太(梅子の長男) 3.50%

22位 久保田 聡子(女子部先輩) 3%

同率23位 桜川 寿子(涼子の母) 2.50%

同率23位 稲(花江実家の女中) 2.50%

同率23位 桂場 等一郎(裁判官) 2.50%

同率23位 笠松まつ(女子部同級生) 2.50%

同率23位 米谷真一(花江の父) 2.50%

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この人が○位? 意外だった順位は

少し意外だった順位としては同率18位の崔香淑(さい・こうしゅく/チェ・ヒャンスク)。ハ・ヨンスが演じる朝鮮半島からの留学生で、寅子の同級生というメイン級キャラにも関わらずこの位置とは。アンケートの4月末時点ではまだ見せ場が少なかったことが響いたのでしょうか。



さらに、松山ケンイチ演じる裁判官の桂場等一郎は25位に留まっています。存在感抜群のキャラクターにも関わらずの厳しい順位ですが、もしかしたら役名があまり浸透していなかったのが票が伸びなかった一因かもしれません。

第6週であった今週は「女の一念、岩をも通す?」。女子部の合格者がゼロに終わった高等試験。香淑、梅子、涼子が受験を断念する中、翌年に寅子は再度試験に挑みます。その先に寅子が見る景色は……?!

※【調査概要】

調査方法:アイブリッジ(株)提供の「リサーチプラス」モニター(全国の30歳〜49歳女性)に対してアンケートを行い、その結果を集計したものです。

調査期間:2024年04月24日〜2024年04月24日

有効回答者数:200人

<文/もちづき千代子>

【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama