2023年にFIA F2でチャンピオンとなったテオ・プルシェールは、2024年のF1昇格のチャンスがなかったため、今季はザウバーのリザーブドライバーを務める傍ら、日本のスーパーフォーミュラに参戦している。そんなプルシェールは先日インディカー・シリーズに代役としてデビューを果たし、レースキャリアにおける新たな経験を積んだ。

 20歳のプルシェールは負傷したデビッド・マルーカスの代役として、ロングビーチで行なわれたインディカー第2戦にアロー・マクラーレンから出走。事前のテストもできておらず、頼りになるのはシミュレータでの経験のみという状況だったが、22番手スタートから11位完走という結果を残した。

 プルシェールは初めてのインディカーを大いに楽しんだようで、インディカーは「素晴らしい」と称賛。また機会があれば再び乗りたいとコメントしていたが、プルシェールは引き続きマルーカスの代役としてバーバー・モータースポーツパークでの第3戦にも出走することが決まった。

 F1シートが空くのを待たないといけないことについて、そしてもしシートが開かなかった場合にインディカーへの転向を検討するかについてmotorsport.comに聞かれたプルシェールは、次のように答えた。

「ああ、もちろんだ」

「インディカーは昨年の時点で僕のリストにあった。チャンスがなかっただけで、ずっとやりたいことだったからね。僕はザウバーでF1ドライバーになれるように待っていたけど、(2024年に向けては)残念ながらF1には行けなかった」

「そしてスーパーフォーミュラという素晴らしいカテゴリーもある。もちろんそれも選択肢のひとつだったし、僕はそこで走ることに決めた」

「インディカーは素晴らしい。将来的にフルタイムで走れるなら断る理由はないよね? 選択肢のひとつだ」

 またプルシェールは、そういった新しい挑戦に切り替えるタイミングは自分の中で定めているのかと念を押すように聞かれたが、控えめな姿勢を崩さなかった。

「みんな忘れがちなんだけど、僕にはまだ時間が多く残されている。僕はまだ20歳なんだ」とプルシェールは言う。

「もちろん僕はF2チャンピオンだし、その上に行きたい。いつの日かインディカーでチャンピオンになれればと思うし、もちろんF1ワールドチャンピオンになるのも夢だ」

「僕にはいくつかの可能性があって、多くの時間が残されている。おそらく……数年くらいかな」

 仮にプルシェールのインディカーフル参戦が実現した場合、彼はオーバルコースにも慣れる必要があるが、その辺りはどのように考えているのか?

「オーバルは、いつか走ってみたかったモノのひとつだ」とプルシェール。

「それを試す機会があるといいね。ヨーロッパでは(オーバルは)ただ左にステアリングを切ってアクセルを全開にしていればいいと思っている人が一定数いるけど、当然簡単じゃない」

「そういった話は完全に間違っている。既にレースも少し見たんだけど、『ワオ!』と思ったね」

「インディ500を見たんだ。このレースは毎年見ているけど、本当に難しい。戦略もたくさんあって、燃費走行もかなり必要になる。でもいつか挑戦してみたいんだ」

「いつか挑戦できるなら当然やってみたいよ。もし機会があれば、答えはイエスだ」