最後の最後に手痛い一発は浴びたものの、シカゴの日本人左腕が素晴らしいパフォーマンスを見せ続けている。

カブスの今永昇太は現地5月7日(日本時間8日)、本拠地リグレーフィールドでのパドレス戦に今季6勝目を期して先発登板すると、7回まで相手の強力打線を零封するも、今季初めて上がった8回のマウンドで逆転の2ラン本塁打を許し降板となった。

結局、左腕は7回0/3を投げ、7安打2失点、8奪三振1四球の好投で2試合連続となるハイクオリティ・スタートを達成。試合はカブスが3-2でサヨナラ勝ちし、今永に勝敗はつかなかった。

現地紙『シカゴ・サンタイムズ』は試合後、電子版に「マイケル・ブッシュがサヨナラ弾でショウタ・イマナガによる素晴らしい先発登板を締め括り、カブスがパドレスを3-2で撃破」と題した速報記事を掲載。

その中で「ブッシュのサヨナラ弾は、またもショウタ・イマナガによる見事な投球パフォーマンスを得たカブスの勝利を確定させた」とした上で、「イマナガはMLBキャリア最長登板となる8回無死で降板する際、スタンディングオベーションを受けた」と、左腕がマウンドを降りる際の状況を伝えた。

記事によると、クレイグ・カウンセル監督は試合後、今永が6回に1死1・2塁のピンチで、マニー・マチャド、そしてザンダー・ボガーツと、強打者2人を連続三振に打ち取った場面について、「彼はあの本塁打を除くと、今日は1イニングだけ本当にトラブルに陥っていた。そして、あのイニングで、彼はレベルを押し上げたと私は思った」と振り返ったとのこと。

なお、『MLB.com』はこの試合の前に、左腕のフォーシームに注目した記事を掲載。「時速92マイル(148.1キロ)の速球は、いかにしてMLBで最も価値のある投球となったのか」と題した記事を掲載。

その中で、「2024年のMLBにおけるフォーシームファストボールの平均球速は時速94マイル(151.3キロ)」だが、「イマナガの平均は僅か92.1マイル」しかなく、「彼は速球の球速では、リーグの下位1/4に入っている」とした。

その上で、「それでもなお、この速球は今季のカブスにとってだけでなく、メジャーのいかなる投手の投げた、いかなる球種よりも価値のある投球となっている」と論じ、その根拠として、この日の試合を迎える時点で、今永のフォーシームのランズ・プリベンテッド(失点を防ぐ度合い)がMLBトップタイの「+9」となっている点を挙げた。

さらに記事では、今永のフォーシームに球速以上の威力がある理由として、「イマナガはメジャーで最高レベルのライジング(伸びのある)する速球を投げる」点、そして「イマナガとの対戦には、速球の影に左腕のスプリットという稀な球種の脅威がある」点を指摘。

記事によると、今永のフォーシームは平均で+3.4インチ(8.6センチ)のライジングをしており、これは今季MLBのフォーシームで3位にランクインするとのこと。また、記事では2点目の左腕のスプリットについて、「2024年より前に遡ると、メジャーで定期的にスプリッターを投げた先発投手は6年間おらず、一線級の左腕となると、2017年のアリエル・ミランダまで遡らなければならない」と、その希少性について言及した。

そして、「今、イマナガはメジャーのマウンドでスプリッターを29%投げ、それは彼にとって、最も空振りを奪える投球となっている」とし、続けて「メジャーリーグの打者が見慣れていない武器に、単独でも幻惑される速球を組み合わせることで、イマナガは、より対戦するのがタフになっているのである」と論じている。