F1第8戦モナコGPで、RBの角田裕毅は8位入賞を果たした。これで今季の3分の1のレースが終了したことになるが、角田は既に今季5度の入賞を記録しており、かつてない好調ぶりを見せている。

 モナコでの角田は、レースがスタート直後に赤旗中断になり、そこでほぼ全車がタイヤを交換したことで、ライバル同様タイヤマネジメントに特化した我慢のレースを強いられることになった。しかし角田は8番手というポジションを守り切ることに徹し、結果的にポジションを落とすことなく8位でチェッカーを受けることに成功した。

 角田は後続のマシンにアンダーカットを許すことがないよう、余力を残しながらも要所要所でペースを上げ、また落として……という戦略的な走りを見せていた。曰く「どんな状況にも対応できる準備をしていた」という。

 今回のレースで角田のライバルとなったのは、9番手を走るアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)だった。アルボンは長らく角田の背後1秒差以内につけてプレッシャーをかけていたが、対する角田はペースをコントロールしながらポジションをキープ。チームからタイヤライフのマージンが確認できたとしてプッシュする許可が降りると、アルボンを数秒単位で上回るラップで突き離しにかかり、最終的にはクリーンエアでファステストラップに迫ろうかというラップも刻んでみせた。

 アルボンとのバトルについて、実際にプレッシャーがかかっていたのか、それともタイヤマネジメントをしていたからこその接戦だったのかと尋ねられた角田は、次のように答えた。

「かなりマネジメントしていました。後ろのドライバーがピットインしてアンダーカットを許すようなことがないように、かなりペースを落とさないといけない時がありました」

「特にかなりペースが上げられる時であれば、ドライバーとしてはフラストレーションの溜まる状況です。ただチームの言うことには従わないといけません。とにかくラスト3周は全開でした」

「モナコはオーバーテイクがかなり難しいコースですが、オーバーテイクしようとするドライバーに後ろからプレッシャーをかけられたくはありません。どのドライバーにとっても当然気分の良いものではないでしょう。でもこれはレース前にチームと話し合ったことですし、タイヤに関して欲張ることなく走れたことに満足しています」
 
 これで角田は、今季5度目(スプリントも含めると6度目)の入賞を記録。中団チームの中でトップの活躍を見せているだけでなく、当初はレッドブル、フェラーリ、マクラーレン、メルセデスと共に“5強”とされていたアストンマーティンをも上回るパフォーマンスを見せている。マイアミGP以降の3レースで見ると、アストンマーティンはフェルナンド・アロンソとランス・ストロールのふたりでわずか4ポイントしか獲得できていないのに対し、角田は12ポイントを稼いでいる。

 アストンマーティンの前に立つことができていると感じるかと尋ねられた角田は、こう答えた。

「そうですね。ここ数戦のレースのリザルトを見ると、少し前に立てているように見えます」

「僕たちはトップ5チームと下位4チームを隔てたところにいると思っています。独立したポジションにあって、アストンにも徐々に追い付きはじめています」

「僕たちは好調で、良いリズムなのでこの調子でいきたいです。今後のレースでもいくつか開発が進んでいくと思うので、そういったアップグレードがさらなる速さに繋がることを期待しています。そうすればアストンにも追い付けると思います」