もどかしく、すっきりしない日々が、続いている。メジャー9年目を過ごし、3球団目のデトロイト・タイガースに移籍した前田健太投手(36)だ。ここまで5試合に先発し、0勝1敗、防御率5・96と本調子ではない。それでも4月23日、敵地でのレイズ戦では5回3安打無失点、無四球、5三振と好投。1-0で勝利投手の権利持って降板したが、リリーフ投手が逆転され、今季初勝利を逃した(試合は4-2で勝利)。ただ、徐々に向上する手応えは感じている。

「いい感覚で投げられた。修正点を投手コーチと話し合いながら、それがうまくいった。今後も続けられるような状態に持っていけたらいい」

実は今季の開幕から、投球フォームに悩んでいた。これまでのキャリアで投球フォームを深刻に迷ったことはない(私の取材してきた限り)。だからこそ、日本時代からキャンプでのフォーム固めや100球以上の投げ込みは不要と考えてきた。もちろん常に完璧なフォームで投げ続けてきた、というわけではなく、日々の微調整や修正を繰り返している。

そんなマエケンが今季、ここまでの登板では納得のいく、しっくりきたフォームになっていないようだ。一昨年行った人口靱帯を使用した右肘の靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)の影響なのか。それとも年齢を重ねた肉体の衰えなのか。体重移動のタイミング、右脚の使い方、右腕の位置など複数のチェックポイントを意識しながら、キャッチボールを繰り返している。

「投球フォームはいい感覚で投げることができた。それを続けられるように。今は修正を加えながら、考えながら(試合中に)やっているところなので自分の感覚として無意識で、できる状態に持ってこられれば自分としてもすっきり投げられると思う」

先のレイズ戦後には、復調が近いことを感じさせるコメント。本領発揮にはあと少しだろうか。フリーエージェント(FA)での新天地。しかも、36歳はチーム最年長だ。年俸1200万ドル(約19億円)はチーム3番目の高年俸。ベテランのキャリアと高給に見合う投球を示したい、と胸の内では思っているのではないだろうか。1日も早い白星をつかみ、貢献している実感がほしい、と感じているのは自然な感情だ。

「自分に勝ちがつけば一番ですけどなかなか、勝てていないので早く1勝したい」

タイガースは2011年から4年連続地区優勝も、直近の7シーズンは負け越し。27日時点では、14勝12敗で勝率5割以上をキープしている。マエケンの復調と白星の上積みがポストシーズン進出、あるいは10年ぶりの地区優勝につながるはずだ。

(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)