バルセロナにとっては劇的にネガティブな週末だった。ジローナに敗れて(4−2)2位の座を奪われ、レアル・マドリーに優勝をプレゼントしてしまった。バルセロナに連勝したジローナはCL出場権の獲得を決めた。

メンタルの差が出た試合だった。逆境に弱いバルセロナと逆境に強いジローナ。2度リードされたが引っくり返した昨日の試合で、ラリーガでリードされた試合のジローナの戦績は8勝1分7敗となった。半分以上は逆転して勝ち点3を手繰り寄せたわけだ。

逆境の強さ=強さとは必ずしも言えない。本当に強いチームは逆転する必要がなく勝つからだ。しかし、粘り強いとは言えるだろう。諦めないメンタルがチーム全体に浸透している。采配面から見ると、交代策が当たっているとも言える。バルセロナ戦では途中交代のポルトゥが2ゴール、1アシストで逆転劇を引っ張った。

ただ、これにしても交代策的中=名采配とは必ずしも言えない。交代策が的中しているということは、先発メンバー選びに失敗しているとも言えるからだ。

バルセロナリードの64分まではシャビ監督のフェルミンを偽ウインガーにしてMF4人で戦う、見かけ[4−3−3]の実質[4−4−2]の戦術が的中し、ミチェル監督は采配対決に敗れていた。もしあのセルジ・ロベルトがバックパスを相手CFドブビクに渡す大ミスがなければ、ジローナの逆転劇があったかどうかはわからない。

それでも一つだけ確実なのは、ポルトゥが控え生活に腐らずやる気満々で投入されたのに対し、バルセロナはキャプテンのミスから失点してもまだ同点だったのに挽回する気配すら見せず、交代選手も何もしないまま、その後チャンス皆無で連続失点した後にもピンチの連続だったこと。4−2で終わって良かった、という内容だった。

この両チームのコントラストを説明するやはり「メンタルの差」となるだろう。

一発パンチを喰らうと崩れていくガラスの顎の持ち主バルセロナと、パンチを喰らっても立ち上がりファイトを続けるタフなジローナである。

そして、そのチーム全体のメンタルの差はやはり監督のマネージメントの差によって生まれている、と言わざるを得ない。

昨日の4得点でジローナが最多得点のレアル・マドリーと1点差の73得点を記録した、という点と、クラブ予算が下から6番目である、という点を考慮すると、ミチェルを「名監督」と呼ぶことに異論を唱える人はいないだろう。

一方、バルセロナ側では、10分間で3失点して逆転負けしたこの試合は、15分間で3失点して逆転負けしたビジャレル戦によく似ていた。想えばあの試合後シャビは今季限りでの退任を発表したのだった……。

文:木村浩嗣